mixiユーザー(id:7990741)

2023年09月10日20:50

12 view

「白ゆき紅ばら」寺地はるな著

親に恵まれない子供ーー特に女の子を保護し住まわせる「のばらのいえ」で育った女性たちの物語。
とても不幸な生い立ちをしている少女たちの奮闘記でもあるけれど、
周りの悪い大人たちの人間模様が描かれ、読みやすくても、ページをめくる手が止まらないタイプの小説ではなかった。

祐希は親せきの運営する保護施設に引き取られ、ずっと親のいないまま、後から来る子供たちの世話をして育ってきた。
そんな過去を持ちながらも、高校卒業後そこを抜け出し一人暮らしをしていたところ火事に見舞われ、
施設のオーナーで粗暴な志道が、連れ戻しにきたところから物語は始まる。
戻った「のばらのいえ」には、幼いころからの仲良しの美少女・紘果がいて・・・

とにかく祐希の生活ぶりが悲惨なのだが、達観している彼女は大人の同情に対してとても冷ややかな見方をしている。
一方紘果の方は、かわいらしさゆえに、「何もできない」けれどかわいがられるという立ち位置で、それも悲惨な育てられ方ではある。

この二人が、悪人・志道に立ち向かっていくのか、いかないのか。が後半のポイントなのだけれど、
他の不幸な女子等がからみ、とても単純には進まない点が、リアルだ。

この作家の「ビオレタ」が好きだったので、これを読んだけれど、ちょっとこちらは暗すぎる感じを持った。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930