「罪の声」の作者だから、と期待したけれど、まあ面白かった。
主人公は元新聞記者で、別居している父から人探しを頼まれる。
絵に描いたような不幸な生い立ちの 珠緒。
京大卒で総合職の黎明期に銀行に就職した彼女の
実父は暴力団員で、母はその元を去ったが逃げ切れず、
珠緒にも魔の手が伸びる。
表と裏のある珠緒は、なぜ50代半ばの今、失踪したのか。
3代に亘る不幸な女性たち。
だが、主人公が真実を追い求め、突き詰めて行くと
薄幸の背後にあるドロドロが見えてくる。
最初に提示された謎。
主人公はそれを解明しようと、福井や京都にまで出向く。
展開する舞台は華やかだけれど、私には結末がやや物足りなかった。
極めて個人的な、個々人達の物語。
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