神田神保町の古書店を舞台にした人情味溢れる長編、とても面白かった。
珊瑚は急死した兄の経営していた古本屋を整理すべく帯広から上京した。
兄は東大在学中に学生運動に走った末、
就職もせず故郷から身を引いたまま亡くなった独身男。
都内には長兄の息子一家がおり、その一人娘の美希喜は、神田に近い大学の国文学専攻の院生で、
母親に言われたこともあり、古書店に通って来るようになる。
大叔母と気の合う美希喜、二人は神保町の様々な人と知り合い、
どんどん町に溶け込んでゆく…
また、亡き兄の自宅が高円寺の借家というのも、好ましい。
登場人物ほぼ全てが本好きな好人物。
中には強烈な人も現れたりするが、
降ってくる課題を、古本と、神保町の美味しいもので解決して行く様が心地よい。
中でも、私としては、とても受けたのが、
ナチュラルボーンホスト
まさかの人物評なのだけれど、そのくだりが可笑しくて大笑いしてしまった。
ちょっぴり謎があり、そこここに笑いあり、そして恋愛あり、
とにかく読みやすくて面白い物語だった。
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