東大教授で博士号を持つ著者が、多数の原著を参考にし、
更には映画やテレビドラマまで参照しながら、
英国のアッパー・クラスの人々についてひもとく。
実例が、例えば頻繁に参照されるドラマ「ダウントン・アビー」など、
馴染みある作品なものだから、分かりやすい。
個人名には勿論爵位が付いてくるから、ややこしいが、
それでも読み進めていくと、イギリス人気質の側面が暴露されてくるから面白い。
驚くのは、爵位と領地は長男にのみ相続されるから、
次男以下の息子は兄とは全く別な人生を歩むことを余儀なくされ、
また、働いて賃金を得るなど、人生の範囲外なのか
娘たちは、学校教育さえまともに受ける意欲のない者が少なくないと言う。
あの、万人に愛された美しい元妃が、実は…
という指摘があり、これは今まで私は日本の報道では殆ど聞かなかったのだが、
30年以上も前に同じ内容のことを聞き知っていた。
それを教えてくれたティムは、キャンベラでの私達夫婦の一番親しかった友人なのだが、
いつの間にか連絡が途絶えてしまった。
エリザベス女王を、少年時代に、学校訪問という形でじかに拝見し、
「気難しそうな背の低いレディだった」
と、彼が言っていたのを思い出した。
自宅(つまりお城)を公開して入場料を取る話も、興味深い。
ニューヨークに住んでいた時に、子供の小学校の寄付金集めに、
同様な催しが毎年開かれた。
城ほど巨大ではなかったが、大きな邸宅ばかり。
イギリスのアッパー・クラスの真似だったわけだ。
折しも映画がまた上映されているから、
「ダウントン・アビー」見に行こうっと。
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