2巻になる大作で、とても面白かった。
上橋ワールド特有のファンタジーで、
巻頭にある帝国の地図を何度も参照しながら楽しんだ。
いきなりハリウッド映画のはらはらドキドキのシーンのように始まる。
主人公は、世が世なら王家のプリンセスだったはずの少女アイシャ。
彼女の極めて特殊な能力がタイトルの由縁なのだが、
ある意味まるでドリトル先生のように、
アイシャは植物の「声」を理解できる。
香りを通じて。
世界の設定も登場人物たちの行動も、全てがきちんと組み立てられていて、
それこそ読み進みながら景色が見え、声が聞こえてきそう。
上質の大作映画を鑑賞するように進めたのは、私が映画好きだからか。
この小説の根底にあるのは、自然を侮るなかれ、という戒めで、
そのため農業の大切さが訴えかけられている。
たまたま見た「ジュラシックワールド」にも通ずる点があり、
偶然ではないような、空恐ろしさを感じてしまった。
異常気象がこれからひきおこすであろう天変地異、
中でも生物の変異には、より一層注意していかねばならないのだろうか。
それにしてもこの作家の描く若きヒロインの格好良いこと。
剣の達人ではないものの、アイシャの強さに感服。
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