カンヌ国際映画祭で主演男優賞獲得の話題作、
初日の午後、8割位の入り。
とても面白かったし、さすが、という感じ。
舞台は韓国。釜山の赤ちゃんポストに若い女が男の赤ちゃんを置いて去って行く。
そこに二組の二人組が現れる。
一組は中年と若者の男で、赤ちゃんのブローカー。
もう一組は女性刑事で、赤ちゃん売買を現行犯で捕らえようと執念を燃やしている。
この二組と母子に児童養護施設の子供まで絡んで、
是枝監督得意の血の繋がらない疑似家族のロードムービーみたいな展開に。
そこに犯罪とコミカルなスパイスが加わり、
ヒューマンドラマ以上の彩りがある。
私の印象としては、今回の米アカデミー賞作品賞の、「コーダ 愛のうた」よりも、遥かに優れていて、
見応えもあり、カメラワークも素晴らしかった。
ま、2つの賞を比較するのがおかしいか。
それにしても、是枝監督の子役の抜擢は
偉大だ。
今作のちょっと生意気な、でも愛すべき少年もとても良かった。
テレビでも予告でも姿ははっきりとは見られなかったから、
より一層、映画の中の少年の上手さに驚いた。
とにかく出演するメインのキャスト達が、愛おしく、
それぞれ不幸を背負っているのに、はしゃぐ時は明るくて楽しそう、
危なっかしさとたくましさで、ドンドン突き進んでいく。
細かいネタバレになるけど、
子守唄の和訳の字幕に強く違和感があった。
教科書にも掲載された定番の訳にすべきかと思う。が、著作権?
それと…これは赤ちゃんの出演する映画では無理なのかもしれないが、
哺乳びんでばかり授乳している赤ちゃんが、いきなり母乳を受け付ける、という演出には疑問を感じた。
たしかにそういう赤ん坊も稀にいるのかもしれないが、
だとしたら空腹で大泣きしている状態のはずだと思われる。
全体的に赤ちゃんの鳴き声が少なかった。
子育て経験者からすれば、リアルさが物足りなかったと言えなくもない。
が、こうして物語をしっかり組み立ててある、ということか。赤ちゃんの鳴き声で、ブレないように。
他は完璧だったから、惜しいと私は思った。
作品賞に至らなかったのはそのせい?なーんて、ね。
ログインしてコメントを確認・投稿する