mixiユーザー(id:7990741)

2021年12月25日17:19

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「長いお別れ」中島京子著(文春文庫)

認知症の夫と世話をする妻、そして家を出てそれぞれ暮らしている三人の娘の奮闘記。
とても面白い。
四人の女性が数々の困難に立ち向かい、戸惑い、協力していく姿を
ユーモアを交えながらリアルに描いていて、とても好ましい。

中学の校長などを務めた昇平は7年前から認知症だ。
この頃隠せなくなるほど、徘徊や物忘れがひどくなり、
老老介護で孤軍奮闘してきた妻•曜子は、三人の娘を呼び集める。
娘達はそれぞれ事情を抱えており、フルに母を支えられる状況にはいない…

娘の子供(男児三人)の様子も、一人だけ独身の娘の辛い恋も
認知症の昇平との会話と絡めると、コントのような展開となり、
介護の厳しい現実をそこここで優しく癒やす。

タイトルが示唆する結末に向かうのだろうな、と想像しつつも
楽しく読み進められる、大満足の長編だった。

娘のうち長女は夫の転勤でカリフォルニアに住んでいるのだが、
大ヒットテレビドラマ "となりのサインフェルド" が出てきて、
ものすごく懐かしく嬉しかった--この小説の設定の10年以上前に完結したドラマなのだけど。
私もあのドラマ大好きだったし、ちょうど最終回の時にニューヨークに住んでいたから、
新聞ラジオなどでも話題になったのをよく覚えている。
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