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2021年12月24日09:46

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「小説8050」林真理子著

引きこもりが長期にわたっている、裕福な家庭の問題を描いた週刊誌連載小説。
とても引き込まれて面白かった。最後は止まらなくなった。

大澤は開業歯科医で、一人暮らししに出て行った早稲田卒の長女がいる。
一階をクリニックにしている、その三階には7年ひきこもっている長男がいた。
中二からずっと不登校の息子を放置の状態だったが、
娘が結婚を決めようとしたところで・・

とてもリアルな話なのは、現代日本が抱えている、
五十代の引きこもりの息子らを八十代の老親が、年金で扶養するという問題がそこここで発生しているから。
その親が亡くなったら、引きこもっていた子供はどうなるのか。

といっても、小説の中の息子はまだ20そこそこで、部屋から出てこられそうな状況だ。
引きこもりの原因が判明したところから、大澤は弁護士に依頼。
それから裁判の準備、そして裁判へとの展開が、スピーディーでおもしろい。

この小説では、あえて流麗な描写とか登場人物の心境の細やかな表現とかを
避けているようにも思われる。飛ばし読み可、みたいな。
そこは、仕事一点張りで、かなりな亭主関白の父親の視点で描いているせいもあるだろう。
家族を所有物のように考え、妻子の心に思い至らない、とでもいうか。
或いは週刊新潮という掲載誌だからかもしれない。
そこが、かえって父親目線のドキュメンリー風になっていて、リアルでよかった。

ひきこもり気味の若い子供を持つ親には特にお勧め。
とにかく読みやすいから。
そして最後のひと文に、泣かされる。
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