mixiユーザー(id:7990741)

2021年11月22日16:52

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「血も涙もある」山田詠美著

人気料理研究家の妻(50歳)と売れないイラストレーターの10歳年下の夫、
新たに雇われたデキる料理助手(35歳)は、とんでもない倫理観のイケイケ女子だった…

いかにもの設定を、この熟練小説家が描くと、
どろどろではあっても、ぎりぎり品性があるというか、
面白〜い不倫もの長編小説に仕立て上がっている。
感心しながら読み終わった。
登場人物達すべて私の気に入らない面々なのだけど。

章立ては三人それぞれの視点で、交代に述べられている。
妻は"柔かーいエブリバディズ•ママ" として、万人に受けるおふくろの味を、
究極の食材と隠し味で作り上げる大人気の料理研究家。
夫は、いわゆるモテ男で女にだらしないが、
妻のお陰で最高級の食と住まいに恵まれ、離婚する意味はない。
そこに妻を"尊敬しています!"と言いながらも、極端な恋愛感の持ち主である愛人が割り込み、
食を絡めながら、大人の恋愛模様が紡がれていく。

そこここに挙げられる固有名詞に、読み手は知識欲をくすぐられ、
例えばミレーのオフィーリアとか境港の水木しげるロードとか、
ピンと来たら嬉しいし、
料理の隠し味についての著者の博識は、勉強になった。
そして、終り方はーーさすが重鎮。
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