「赤旗」に「趣味で腹いっぱい」というタイトルで連載された小説。
スルスル読めて面白かった。
高卒銀行員の小太郎と院卒非正規雇用の鞠子は結婚し、
鞠子は専業主婦となって、趣味に明け暮れる毎日。
マジメで働き者だけれど、出世は望めない夫と、
高学歴でありながらも社会的生産性は限りなくゼロな妻。
その生活は危うい時もあるものの、穏やでかつ面白いし、
鞠子の趣味がどんどん増えていく様が、自然で好ましい。
世知辛い現代、テレビを見ていると、何かと金額で表そうとしている気がする。
その対極にある、大人にとっての幸せとは、生きがいとは何か、
と云うような奥深いテーマを、
平易な文章で淡々と、時にユーモアを持って語る作者。
ちょっぴりシビアな金言も散りばめてあって、大いに楽しめた。
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