群像劇のような短編集。一編が、短いもので1ページ位から、せいぜい数ページで、それぞれ面白い。
また各作品は独立してはいるが、後から同じ登場人物が別な物語で語られるケースもある。
とにかく編まれた短編の数が多いので、その分登場人物がたくさん。
従って読み手は、記憶力発揮を強要されつつ読み進まなければ置いて行かれる。
何しろ、ある短編の後日談がどこで現れるか全く予測できないのだ。
一つ一つを、ちょこっと頭を働かせて、シーンを思い浮かべて読むのが楽しい。
新しい登場人物達の会話が、生き生きと鮮やかに紡がれていくから。
それは明治よりも前の時代もあるし、死人の独白も・・
もっとも死人に口無しだから、しゃべってはいないが。
例えば、クリニックや美容室に備えてあると、
この本目当てにやって来る患者や顧客もあり得るかも。
上手な小説家の、チャレンジングな一冊。
ログインしてコメントを確認・投稿する