mixiユーザー(id:7990741)

2020年10月12日11:21

52 view

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ著

去年の本屋大賞ノンフィクション部門賞のベストセラー。
読みやすくて大変面白かった。
アイルランド人の夫との間の息子の10歳の時から、
いかにして近所の元底辺中学に入学し、
どんな学校生活を送っているかを
保護者である著者の目を通して、鋭く語る。

イングランドの田舎町ブライトンで、
トラック運転手の父と福岡出身の日本人ライターの母との一人息子は、
小柄だが、音楽の才には恵まれているようだ。
でなければ、この元底辺中学のように、
白人労働者階級だらけの学校には、きっと通いづらかったろう
と、思わせるエピソードから始まり、
ブレグジットに揺れる英国の教育や社会福祉の実状を、
息子の学校の様子をリアルに描くことで、明らかにしていく。

日本にも外国からの移民が増えてきたけれど、
英国の比ではない。
ニューヨークの郊外の住民税が高いから治安が良いし教育レベルも高い自治体で3年余り暮らした私からみれば、
ドラマみたいに見えるような、ブライトンの行政ぶり。
でも、アメリカでも同様な地域では似たような感じだったのかなあ、などと感じた。

英国政府の方針で弱者に対する手当てが不足な分を、
公立中学の教師達がポケットマネーで補っている話には、ただ驚いた。
確か、ロシア通の元日本人外交官は「一番意地悪なのはイギリス人」と断言していたのに。
ベストセラー文筆家である彼が読んだら、どう思うのだろうか。

また、私の留学先のオーストラリアの公立高校でも数十年前から行われていた
制服のリサイクルにしても、この著者の息子の学校では、
まさに必須の催しで、それにまつわるエピソードでは、
ビル・ゲイツ夫人の国際福祉ボランティア活動(アフリカ等での女児虐待行為抑止)と
ドンピシャに通ずるところがあり、これにもびっくり。
アングロサクソン気質は、繋がっているのか?と改めて気づかされた。

読みやすくて面白いし、より多くの日本人の十代の若者に勧めたいし、
大人が読んでも勿論、十分楽しめると思う。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年10月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031