mixiユーザー(id:7990741)

2020年08月28日11:32

29 view

「ランチのアッコちゃん」柚木麻子著(双葉文庫)

とても面白くて楽しい小説だった。
連作短編集とも言えようが、"ビタミン小説"なんだそうだ。

まずは表題作で、アッコちゃん が何者かを、主人公である派遣社員三智子が紹介してくれる。
あたかもあの「芸能界のご意見番」のようなイメージから始まる。
しかし、ある日のランチタイムから、
三智子は大ボスアッコちゃんと深く関わるようになり・・

そして二作目の「夜食のアッコちゃん」は、一作目をまるまる受けての期待通り。

しかし三作目「夜の大捜査先生」は全く趣きが異なり、
渋谷の隣駅・神泉を舞台に、すごくリアルな街巡りの、
ちょっワクワクしてでコミカルな逃走劇(?)仕立てとなっている。

神泉の居酒屋でよく仲間と集まっていた経験からすると、
あの
ゴチャゴチャした街の描写がアルアル尽くしで、笑えてとても面白い。

また、ネタバレになるけれど、
この物語の主人公は、元コギャルで、渋谷でさんざん遊び回った
お嬢さま学校出身という設定で、これがものすごくはまっていて愉しい。

そして四作目は、中小企業経営者の苦悩を、
とんでもなくデキの悪い新人女性社員と絡めて描いていて、
それこそビタミン小説とは、こうしたものなのだ、とわかる。

薄くて軽くて、さっくり読めそうだけど、
実は心をつかむ一冊だった。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年08月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031