とても面白くて楽しい小説だった。
連作短編集とも言えようが、"ビタミン小説"なんだそうだ。
まずは表題作で、アッコちゃん が何者かを、主人公である派遣社員三智子が紹介してくれる。
あたかもあの「芸能界のご意見番」のようなイメージから始まる。
しかし、ある日のランチタイムから、
三智子は大ボスアッコちゃんと深く関わるようになり・・
そして二作目の「夜食のアッコちゃん」は、一作目をまるまる受けての期待通り。
しかし三作目「夜の大捜査先生」は全く趣きが異なり、
渋谷の隣駅・神泉を舞台に、すごくリアルな街巡りの、
ちょっワクワクしてでコミカルな逃走劇(?)仕立てとなっている。
神泉の居酒屋でよく仲間と集まっていた経験からすると、
あの
ゴチャゴチャした街の描写がアルアル尽くしで、笑えてとても面白い。
また、ネタバレになるけれど、
この物語の主人公は、元コギャルで、渋谷でさんざん遊び回った
お嬢さま学校出身という設定で、これがものすごくはまっていて愉しい。
そして四作目は、中小企業経営者の苦悩を、
とんでもなくデキの悪い新人女性社員と絡めて描いていて、
それこそビタミン小説とは、こうしたものなのだ、とわかる。
薄くて軽くて、さっくり読めそうだけど、
実は心をつかむ一冊だった。
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