80年代半ば、実際に起きた江崎グリコ社長誘拐事件を素材に
まるで、コールドケースを暴いて行くような長篇。
迫力があってとても面白かった。
京都のテーラーの主・俊也は、自宅にあった古いカセットテープを見つける。
そこには、昭和の犯罪史に残る誘拐事件に使われた
子供の声が録音されていたが、それは自分の声だった。
一方、大日新聞の記者・阿久津は、上司から同じ事件を徹底取材するように命じられた。
二人の別々な方向からの追求により、真実が明らかになっていく・・
追う阿久津、ためらう俊也。関西を主な舞台に、二人は真実に迫って行く。
この「グリコ森永事件」は、とてもセンセーショナルで、他にも面白い小説のネタになっている。
この作品が秀でているのは、知らないうちに犯罪に加担してしまった
幼い子供や家族に焦点をあてて、ヒューマンな物語を紡いでいるところ。
グリコのキャラメル、久しぶりに買おうかな〜。
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