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2019年08月02日22:36

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「美しき愚かものたちのタブロー」原田マハ著

国立西洋美術館創設の源となった松方コレクション、
いかにして松方幸次郎がヨーロッパで名画を買い集めたか
また、誰がどのように松方に協力したか、
史実に基づいて描かれた長編。
原田ワールドなのだが、ひときわノンフィクションっぽい小説で、
読み応えがあり面白かったものの、やや物足りなかった。
しかし現在上野で開催中の展覧会との相乗効果で、
より一層楽しめた。

巻末の資料リストの多さが示すように、史実に忠実に綴られていて、
物語性という点では、この作家の他の個性的な主人公達に
いささか及ばないように感じた。
もちろん松方幸次郎の、フランスでの行動はとてもステキに描かれていたけど、
松方にしろ、その仲間にしろ、殆どの登場人物が日本人で、
しかも芸術家そのものというよりも、その周辺のコレクター等だから
必然的に個性の強さがマイルドで、話が小さくまとめられた感がある。

この作家は、絵の周囲の人々より、画家自身に焦点を当てて
生き生きと描いて、ストーリーを展開させるのが大得意なのだから、
そこを期待して読むと、ちょっと当てがはずれる。
実在する人物の子孫にあまりにも配慮しすぎているのか、
ストーリー展開に、もう少し奔放さがあった方が私好みだった。

この前に読んだ「常設展示室」の方が好き。


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