芥川賞作家の、「文藝」連載作、ふんわりとしてとても面白かった。
主人公高之と妻の沙和子は大学の同期生だったが、
氷河期の就職で勝ち組は沙和子。
高之は入り婿として、熊谷にある妻の実家の土地に住まう。
子供のいない夫婦に、単身赴任の話が来て・・
いつまでも子供っぽいというか、いかにも頼りない高之と
バリキャリ路線を走ろうとする一人娘の沙和子。
学生時代からの付き合いだから、物語は二人の過去も語られるのだが、
全編を通して、旅が重要な要素となり、一種のロードムービーの様相をなす。
主人公達の心情を描きつつ、旅先の描写も素晴らしくて
読み手としては彼らの足跡をたどりたくなる。
恋愛ものでもあり、家族の物語でもあり、ステキなお話だった。
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