芥川賞受賞作。面白かった、はらはらとかワクワクなどないけれど。
母一人娘一人で田舎育ちの知寿は、二十歳過ぎて上京し、
親戚の老未亡人の一戸建てに居候を始める。
ヘタレ女子ながら、まずはパーティーコンパニオンのバイトを得る。
が、うまくやっていけてない感じの毎日。
一方、七十歳を越えていても家主の吟子は大変壮健で
ボーイフレンドが時々訪ねてきたり出かけたり。
どちらが若いかわからないような暮らしぶりだ。
取り立てて心に響くような描写とか、恋愛シーンとかは、ない。
でも、知寿と吟子にじわじわと読み手を惹き付け、
彼女らを愛しく思わせる筆致は見事。
吟子の住まいは京王線の、恐らく調布に近い所で、
重要な舞台となるのは笹塚駅なのだが、
私はここ数年で3年間、週一度通った町なので余計に共感できた。
ヘタレ娘の成長記でもあり、独居老女の奮闘記とも取れる。
とても楽しんで読み終わった。
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