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2018年06月11日21:59

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「万引き家族」是枝裕和監督 

密な映画だった。面白い、という言葉では表せないような濃くて緻密で、繊細でよくできていると感じた。
「海街diary」の是枝監督だし、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したと聞いて、
夫も乗り気になり見に行ったのだが、平日の昼間でも満席。
客層は、ひと言でいえば「大人」たち。

冒頭から、ヒューマンもの(アクションとかミステリーでなく)にしては緊迫した雰囲気。
細野晴臣の音楽は、極力少ない。
(スペイン風ギターのメロディーが、私はとても気に入ったのだけれど)
子役の少年はものすごく上手で、父親役のリリー・フランキーとの相性抜群。
というか、祖母(樹木希林)、夫婦、叔母、男の子の5人の狭いボロ家での暮らしぶりは、とてもリアルでこなれている。
そこへいかにも虐待を受けている風の幼い女の子が加わるところから、物語が展開。
どの場面も彼らの日常なのだけれど、だんだん深く掘り下げられていくところが
何とも面白い。

そう、やっぱり面白かった。

それにしても、情報番組などでは、主演女優の安藤サクラが
カンヌで大好評と報じられていたけれど、大いにうなずける。
松岡茉優(叔母)も相当な熱演だが、お母さん役の安藤サクラの圧倒的な「血のつながらない母親」っぷりに軍配。

最初から最後まで、終始薄汚れたような服装で通す5人家族なのだけど、
要所要所で輝くような美しい表情が見られた、
と私は感心したのだが、同行者はピンとこなかったみたい。

家族とは逆に、ある場面から登場する高良健吾と池脇千鶴が、パリッとして
「美形なのに敵役」で、特に高良健吾のイケメンぶりは眩しいくらいだった
にもかかわらず、美形チーム片方の池脇千鶴の放つあるセリフを聞いて、
思わず張り倒したくなるくらい、憎たらしく感じた。
(そんな点も、たぶん高評価だったのだろうな
その時の安藤サクラが素晴らしかったし)

夫は「海街diary」の方がずっとよかった、と不満。
たしかにストーリーも景色も、あちらの方が心穏やかに楽しめた。
カンヌの評価基準って、やっぱり俳優の演技力なのかしらね?
批評家たちは、「声を出せない者たちへの監督の視線」とかなんとかって論じている、っていうように
社会に対するメッセージは、はるかに「万引き家族」が強い。
鑑賞する人々の映画に対する心持を試すような力作なのかもしれない。

蛇足ながら、アカデミー作品賞の「シェイプ・オブ・ウォーター」よりは、ずっと良いと感じた。
(夫は作品賞ノミネート作「ペンタゴン・ペーパーズ」の方がずっとよかったそうで)
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