またまた楽しくはない小説。でも面白かった。
主人公は30歳でバリバリの商社ウーマン栄利子。
世田谷のマンションに両親と三人暮らしの美人で一度も結婚したことがない。
何でも持っている恵まれたように見える彼女には、
実は大きな欠点があった。
それを埋めるべく彼女は一人の専業主婦のブログにのめり込む。
ズボラな日常をアップして、それなりに人気の主婦ブロガー翔子は
地方出身で、栄利子の近所の賃貸マンションで夫と暮らしている。
出自も学歴も全く異なるが同い年という共通点を持っているのだが
実は、この二人は決定的な負い目を、同じように苦しく感じてきていた。
女友達が出来ない
頭がよくて綺麗で、とても恵まれているようでありながら、
栄利子の行動が、どんどんおかしな方向へエスカレートしてゆく様は
哀れを通り越してサイコホラーの様相を帯びる。
一方翔子は、初めは追いかけられ迷惑をかけられる立場だったのが
話が進んでゆくと、思わぬ方向へ突き進んで行く。
何でも持っているような栄利子に女友達が出来ない理由がだんだん解き明かされ、
彼女が恋い焦がれるようにして手に入れたと思った「親友」は・・・
この物語では、共感してもらえることこそ最も大切、
みたいな価値観が打ち立てられている世界が繰り広げられるのだが、
異性より同性に好かれようとするi強いこだわりが
現実の今、インスタ映えを求める風潮にシンクロする。
デフォルメされすぎ、とあしらえないメッセージ性のある長編だった。
ただ、文庫版の表紙はいただけない。
乙女漫画過ぎる、と感じるのは私だけではないのでは?
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