「その女アレックス」の前の長編。
同じ チームが連続猟奇殺人を解決しようとする推理小説。
舞台は今世紀のパリ。
読むのもおぞましい殺人現場に主人公のパリ警察警部カミーユがやってきたところから始まる。
こんな滅茶滅茶な殺人を犯すのは、どんな人間か?
調べていくうちに、パリ以外でおきた猟奇殺人も、同じ犯人らしいと判明、
カミーユは身重の妻イレーヌを残して、 国外に出張したり、
手を尽くして犯人を突き止めようとする。
このシリーズが面白いのは、なんといってもカミーユの個性だ。
彼は頭脳明晰で洞察・観察力に優れているのだが決定的な欠点がある。
健常人 並の身長がない。背が低いというハンディキャップがあるのだ。
それにもかかわらずチームリーダーとして、優秀な部下達に尊敬されている。
その部下達が、またとても個性的で、うち一人は貴族の出だったりして、 惹き付けられる。
ストーリーが進み、殺人のパターンが解明されてくると、
怪しい人物が浮かび上がってくるのだが、それと共に
いかに次の殺人を防ぐかが焦点となってくる。
この著者は「アレックス」と本作しか読んでいないが、とても読みやすく面白い。
ただ、読む順番は逆のほうが良かったと思う。
この小説の殺人は半端なく凄惨だ。
しかし、主人公カミーユの人となりを著すのに、
著者が描いたイレーヌと出合うシーンは、微笑ましい。
その小道具にティツィアーノが使われている点が、とても好ましかった。
ルーヴルに行くことができたら、ティツィアーノを見なきゃ。
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