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2016年04月05日10:00

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「異類婚姻譚」 本谷有希子著

芥川賞受賞作なのだけれど、期待したほどではなかった、というか、あまり私にはピンと来なかった。
でも、もちろん、面白くないことはないし、むしろよくできているとは思ったけれど。

主人公が、自分の顔が「旦那の顔とそっくり」になっていると感じたところから物語が始まる。
専業主婦で子供なし、という、今の都会では珍しいような、ある意味、恵まれたように見える家庭。
が、マンションには30歳くらいも年上の、これも専業主婦の友だちしかいないし、
だんだん主人公の状況がわかってくるにつれて、ははぁ〜という印象を得られるようになる。
そして、
「いつの間に、私は人間以外のものと結婚してしまったのだろう」と、主人公は考える。

バツいちの夫が訳あり、というか、一応人並み以上の収入があるサラリーマンなのだが、
家に帰ると恐ろしく怠惰で、前半から悲劇を臭わせるような(匂わせる、でなく)要素は、ある。
こんな夫と二人きりだと、そりゃ、飼い猫ぐらいいないと暮らしていけないだろうな、
と、大人の女性の読者ならば、すぐに嗅ぎ付けられるような雰囲気に、話が展開していく。

で、タイトルでも明らかなように、この世の話とはいいがたくなっていくのだろうな、
と思って読んでしまったから、今ひとつ楽しみ切れなかったのかも。
この手の話には、もう少し劇的な転機みたいな事柄を期待してしまう。幼稚な読者なのかも、私。

他に、似たような感じの短編小説が3篇。
「読むのに費やした時間が無駄だった」とは、まったく思わないけれど、
好き嫌いのありそうな話だった。
ただ、この賞を取ったわけだし、今後もっともっと面白い作品を生み出しそうな、そんな気もする。
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