「楽園のカンヴァス」がとてもよかったから、チェックしてきた作家。
が、読み始めて少し違和感を感じる。あまりにも読みやすい、というか軽すぎる、というか。
ラノベ作家を公言していた頃の有川浩を連想するくらいサクサク読めて、
おもしろい。
で、解説を読んでわかったのだが、「楽園〜」以前に書かれた連載小説だったそうだ。納得。
主人公は、自称「万年OL」の、こと葉。
万年OLとは、難しく厄介な仕事は避け、ランチ命みたいな仕事っぷりの、安定大手企業に勤める女性社員、といえる。
彼女が幼馴染のあっくんの披露宴に列席したところから物語が始まる。
その席で大失敗をしたおかげで、のちにこと葉の人生を変えるような人、伝説のスピーチライター久遠久美と出会う。
ということで、この小説は、スピーチライターという珍しい仕事に就く女性を描く、いわゆるお仕事小説でもあり、
いかにも小泉元総理らしき政治家や、対立する野党の党首らを含めての、政治家と選挙を描いてもいる。
テンポが速くて、しかも美形やら富裕層やらがどんどん登場する非現実的要素があるものの、
好ましいキャラたちが大活躍するお話しだ。
ちょっとうまく行き過ぎというか、安易に流れすぎということも指摘できそうではあるけれど、
まっすぐな柱が通っているから、よし、としよう。
披露宴にしろ会社の節目の会にしろ、スピーチをする上での極意が、そこここで述べられていて、
そういう意味では、実用本としても活用できると思う。
なお、この一冊を勧めていたのが、杉並区立阿佐ヶ谷図書館。
原田マハは好きなのに、なぜかこの作品は私の網には引っかかってこなかったのだが、巡り合えてよかった。
この本の前に超つまらない小説を読んでしまっていたから、ちょうど良い口直しならぬ目直し(?)になった。
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