mixiユーザー(id:7990741)

2015年04月14日18:07

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「南の島のティオ」 池澤夏樹著 (講談社青い鳥文庫)

前から気になっていた児童向けの小説。
この作家だから、きっとおもしろいだろう、と予想したら大当たり。

タイトル通り、ミクロネシアらしい、珊瑚礁の孤島に住む、少年ティオの日常のものがたり。
連作短編ともいえるような、10篇。
あとがきでわかるのだが、このうち第2作は、池澤が初めて書いた小説だそうだ。

色々な土地に住んで(移住して)は、そこの物語をつづってきた著者が、若いころの感性で、
10代初めの少年の眼を通して、南の島でおこる、ちょっと不思議だったり、人情にあふれた展開だったりの
もろもろの話を語って、まさに南国情緒豊かな、心癒される一冊だと思う。
島の人々の描写が、とても温かい。

が、ラストの部分は、なんとも切ない。
やはり「スティル・ライフ」で見られるように、「男の友情」に関しては、この作家以上の人はいないのではないか?
心に訴えるところの多い、島の空気や光さえも感じさせるような、素晴らしい作品だった。

ただ、やっぱり青い鳥文庫。挿絵は私の好みではなかった。

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