mixiユーザー(id:24322169)

日記一覧

石原俊著『群島と大学/冷戦ガラパゴスを超えて』(共和国)読んだ。著者は歴史社会学者で、「その狭い意味でのフィールドは、北西太平洋に浮かぶ小さな島々である小笠原諸島や硫黄列島と、そこから離散した人々の住む場所です。」「グローバリゼーションと植

続きを読む

シネ・ヌーボで2月に亡くなった鈴木清順の特集をやっていて、清順が日活を馘首される原因となった「殺しの烙印」(1967年、宍戸錠主演、敵対する殺しやNo.1に名脇役南原宏治)を見た。清順の映画は日活時代の分は特集上映ですでにほぼ見ている。フリーに

続きを読む

小熊秀雄著『小熊秀雄童話集』(創風社)読んだ。詩人小熊秀雄は詩以外に童話も書いている。著名なのは死後(戦後)出た絵本『焼かれた魚』だが、この『童話集』に収められた18作品はどれも想像力が豊かで、貧困と弱者を見つめ、抑圧に屈せず、抵抗の意思が

続きを読む

町山智浩著『映画と本の意外な関係』(集英社インターナショナル新書)読んだ。私は町山智浩さんの文章が大変好きで、「週間文春」連載「言霊USA」は行きつけの喫茶店で毎週楽しみに読んでいて、単行本になったら必ず買って再読している。この本は映画と本

続きを読む

村田沙耶香『しろいろの街の、その骨の体温の』(朝日新聞出版)読んだ。主人公である結佳の小学校4年から始まり、中学校2年で終わる現在の少女と少年たちの世界が描かれていた。この本のタイトル「しろいろの街の、その骨の体温の」はニュータウンの閉塞し

続きを読む

「文学界 6月号」が「島尾敏雄・ミホ/神話を超えて」を特集していて、その特集のみ読んだ。私はあまり小説を読まないが、不思議なことに若い頃に『死の棘』を読んでいて、この特集が目に入った。梯久美子と三浦しをん(僕の好きな小説家!)の対談「『書き

続きを読む

ドイツ映画「僕とカミンスキーの旅」(ヴォルフガング・ベッカー)を見た。あの「グッバイ、レーニン」の監督が作った12年ぶりの長編映画だ。「グッバイ・レーニン」の主人公だったダニエル・ブリュルが無名の美術評論家で、盲目の画家マヌエル・カミンスキ

続きを読む

村田沙耶香著『殺人出産』(講談社)を読んだ。中編1本、短編2本、ショート1本からなっている。「殺人出産」は殺人出産制度が導入された時代の話で、「生み人」として10人の子供を出産(人工授精で出産、10年以上の入院)したら殺したい相手を合法的に

続きを読む

イタリア映画「海は燃えている/イタリア最南端の小さい島」(ジャンフランコ・ロロージ)を見た。イタリア最南端の小さい島であるランペドゥーサ島に近年北アフリカから難民がたくさん押し寄せてくる。難民船の悲惨な実態と少年の目からとらえた島の日常、二

続きを読む

図書館の新着本コーナーにあった川島真著『中国のフロンティア/揺れ動く境界から考える』(岩波新書)を読んだ。現代の中国の海外進出について、現地踏査もして考察した非常に興味深い本だった。今年の3月刊の新書本だったので、案外早く図書館に入るのだと

続きを読む

図書館で借りた小熊秀雄著『小熊秀雄詩集』を2冊読んだ。1冊は日本近代文学館が復刻した第一詩集、もう1冊は中野重治が編集した思潮社版の小熊の詩集(この中には第二、第三詩集、未完詩編、童話、評論他があり、中野重治の批評、長谷川龍生の解説がついて

続きを読む

昨年の芥川賞を受賞した村田沙耶香著『コンビニ人間』(武芸春秋社)を読んだ。私は若い世代の作家を全然知らないが(現代作家で好きなのは内田洋子、原田マハというところだ)、友人から借りて読んだ。いやとてもおもしろかった。私の肌合いにあうと思った。

続きを読む

小熊秀雄の童話『焼かれた魚』を読んだ。読んだ版は、新田基子(絵)の『焼かれた魚』(創風社、1997年1月刊)と市川曜子(絵)、アーサー・ビナード(英訳)、木島始(解説)の『焼かれた魚』(透土社、1993年11月刊)で地元の図書館にはなく、大

続きを読む

福間良昭著『働く青年」と教養の戦後史/「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩書房)を読んだ。1950年代後半から60年代初頭にかけて『芦』『人生手帖』『青春手帖』等の人生雑誌(創刊は50年代初め)が興隆を極めた。その主たる読者は高校進学を絶たれ

続きを読む

「おとなの事情」(パオロ・ジェノヴェーゼ)を見た。イタリアの現代喜劇映画だ。友人の家に夕食会で訪れた7人の幼なじみたちが、それぞれにかかってきた携帯電話をオープンにするという「ゲーム」をすることになった。そのことによって繰り広げられる人間模

続きを読む

病院付き添いの合間に「午後8時の訪問者」(ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)を見た。飛び込みで見た映画はベルギーの映画で、ランスとの合作だった。兄弟監督のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌの映画で、前に見た作品では「少年と自転車」

続きを読む

雑誌「現代思想」は毎年4月号が教育特集で、今回は「教育は誰のものか」であり、常連の執筆者の岡崎勝(小学校教員)・赤田圭亮(元中学校教員)・佐々木賢(元高校教員)さんの文章は必ず読むことにしている。今回は岡崎「文科相殿『同情するなら、ヒマをく

続きを読む

図書館で借りてきたアーサー・ビナードの詩集『釣り上げては』(詩潮社)『左右の安全』(集英社)を読んだ。それぞれ第一詩集、第二詩集の順だ。『釣り上げては』の表題の詩は、故郷ミシガン州で少年時代にお父さんと過ごした魚釣りの思い出を詠んだもので、

続きを読む

アーサー・ビナードのエッセイ集『出世ミミズ』(集英社文庫、2006・2・25)を読んだ。図書館で借りてきたアーサー・ビナードのエッセイの最後で、文庫本オリジナル版である。『出世ミミズ』という意表をつかれるタイトルだが、そのタイトルと同じ一文

続きを読む

アーサー・ビナードのエッセイ集『アーサーの言の葉食堂』(株式会社アルク)を読んだ。ビナードさんの最も新しいエッセイだ。このエッセー集の一番最後の文章に東京から広島に移住されたことが出ている。『言の葉食堂』は、「マガジンアルク」の連載の「日々

続きを読む

アーサー・ビナードのエッセイ集『亜米利加ニモ負ケズ』(日本経済新聞社、2011・1・25)を読んだ。日本経済新聞等に掲載されたものだ。アーサー・ビナードさんの守備範囲が、詩作・エッセー・翻訳・絵本制作以外に謡曲、落語等に及ぶことがこの本で分

続きを読む

アーサー・ビナードのエッセー集『日々の非常口』(朝日新聞社、2006・8・30)を読んだ。朝日新聞に連載されたもので、2ページの見開きで、読みやすく、かつ著者の描いているイメージがぱっと入ってきて、とてもいい。どの文章も新鮮な感銘を受けたが

続きを読む

図書館から借りたアーサー・ビナードのエッセー集の2冊目『日本語ぽこりぽこり』(小学館、2005・3・20)を読んだ。アーサー・ビナードが日本語での詩作、翻訳等について折りに触れ書き綴ったエッセーである。タイトルの「ぽこりぽこり」とは何かと思

続きを読む

アーサー・ビナード著『空からきた魚』(集英社文庫)を読んだ。アーサー・ビナードの本に関心が向き、図書館で借りてきた本で、著者が来日して比較的早い時期に書かれた第一エッセイ集だ。英語、イタリア語、日本語、タミール語・・等(まだありそうだ)に堪

続きを読む

大きめの仕事のめどがついたので、「パッセンジャー」(モルテン・ティルドゥム)を見てきた。予告編を見て、ちょっと気になっていた映画で、惑星への移住計画で地球を後にした宇宙船を舞台にして、冬眠ボッドで眠るジムがひとり早く目覚めたところから始まる

続きを読む

「キングコング 髑髏島の巨神」(ジョーダン・ボート=ロバーツ)を見た。時代はベトバム戦争の末期、南海の髑髏島でキングコングが大暴れする(ただし都会編であるニューヨーク編はない)という、「キングコング」の定型を踏まえた映画でおもしろかった。(

続きを読む

マーティン・ファクラー著『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書)を読んだ。著者はニューヨーク・タイムズ東京支局長で、2011年の3・11東北大震災時に日本の新聞記者がまだ現地取材に入っていない段階で果敢に取り組み、その過程で政府当

続きを読む

アーサー・ビナード作、スズキコージ画『ドームがたり 未来への記憶』(玉川大学出版会)を読んだ。広島でこの本が出ていることを知ったが、買いそびれて、本屋から取り寄せた。アーサー・ビナードの本は以前にベンシャーン絵、アーサー・ビナード構成・文『

続きを読む

「私はダニエル・ブレイク」(ケン・ローチ)を見た。イギリス映画を代表するケン・ローチ、80歳の作品である。妻に先立たれ、ひとり暮らしの初老のダニエル・ブレイクは病気で医師から仕事を止められ、国から雇用手当を受けていたが、就労可能とされ、手当

続きを読む

峠三吉著『原爆詩集』(岩波文庫)を読んだ。『原爆詩集』が岩波新書に入ったことは今月初めに広島で知った。何でまた「今頃」と思ったが、日本の「良識」とはその程度か。広島でパネリストとしての発言を聞いたアーサー・ビナードさんが文庫本の解説「日本語

続きを読む