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2017年04月30日07:56

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book『小熊秀雄詩集』(小熊秀雄)

図書館で借りた小熊秀雄著『小熊秀雄詩集』を2冊読んだ。1冊は日本近代文学館が復刻した第一詩集、もう1冊は中野重治が編集した思潮社版の小熊の詩集(この中には第二、第三詩集、未完詩編、童話、評論他があり、中野重治の批評、長谷川龍生の解説がついている。)第一詩集は1935年に刊行されたもので、小熊の「序」がついていて、詩はプロレタリア詩であり、迫り来る戦争とファシズムの前夜の状況にプロテストする小熊の詩だ。小熊は叙情詩を排し、不定形の自由詩を書いた。この頃の詩を昔、1970年代から80年代初めにつきあいにのあった戦前のプロレタリア演劇経験者のN氏を思い出して読んだ。私は第一詩集でも「蹄鉄屋の歌」「馬上の詩」などの寓意性の強い詩が好きだ。また「トンボは北へ、私は南へ」「姉へ」で小熊が北海道を出郷し、東京を目指した心境を謳った詩に心引かれた。思潮社版にある第二詩集、小熊の死後に中野重治の手によって刊行された第三詩集等を読んで、小熊の詩は諧謔性、寓話性のある長編叙情詩がとてもいいと思った。私が付箋をつけた詩のタイトルを上げておく。「綱渡りの現実」「プラムパゴ中隊」「馬の糞茸」「シャリアピン」「山雀の歌」。「最初の微笑と最初の手」という恋愛詩編もある。遺構の「無題」はいい。その他に童話の「自画像」、評論も書き、「モジリアニ論」が鋭い。それに「子供漫画論」まである。小熊は日中戦争開始直前の1940年に39歳で結核により亡くなった。戦死した私の父と同世代である。私は先に読んだ童話「焼かれた魚」と今回読んだ2冊の詩集でしか小熊を知らないが、短い生のを疾走した変幻自在の作品群に興味を強く持った。友人に次のサイトを教えてもらったので、少しずつ読んで見ようと思う。
小熊秀雄作品リスト(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person124.htm
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