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日記一覧

「カツベン」(周防正行)を見た。地元のシネコンでは年の暮れの1回上映で最終回しかやっていないので、行くのを迷ったが、周防監督の映画は「シコふんじゃった。」以来見ているので見に行った。無声映画時代の活動映画の弁士を取り上げた喜劇で実におもしろ

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あと100ページを残して、読むのを挫折していた若桑みどり著『クワトロ・ラガッツィ(上)』を年末のこの時期に読み上げた。読むのを断念した時、「おもしろくない!」と言っていたのが、僕のこの本に関する認識不足で、間違っていたと分かった。3分の2ま

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「家族を想うとき」(ケン・ローチ)を見た。前作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」はイギリス社会で孤立した高齢者と一人親家族の抱える問題を描き、特に孤絶した老人の抵抗する姿は感動的だった。今回は主人公の夫がフランチャイズ宅配ドライバーでその厳

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私が好きな作家にもうひとり内田洋子いる。しばらく読んでいなかったが、拙著の出版祝いに図書券をもらったので、久しぶりに内田洋子の本を買って読んだ。内田洋子+モンテレッジォの子供達著『もうひとつのモンテレッジォの物語』(方丈社)だ。北イタリアの

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原田マハ著『風神雷神(下)』(PHP研究所)を読んだ。全巻読み終わって実におもしろかった。この後半の面白さは少年使節、特に少年俵屋宗達がヨーロッパの絵画に出会う箇所だ。フィレンツェではレオナルド・ダ・ビンチの未完成の聖母子像(メディチ家礼拝堂

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僕は原田マハが好きなんだが、同著『風神雷神(上)』(PHP研究所)を読んだ。話は遣欧使節が日本からローマに派遣され、ローマ教皇グレゴリウス十三世に謁見した時代を舞台に、4人の少年使節に若き絵師俵屋宗達が結びついて大変面白い。(これは意外な結び

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原武史著『松本清張」で読む昭和史』(NHK新書)を読んだ。非常におもしろい本だった。松本清張の作家的世界が照らし出す「昭和史」の闇を、推理小説『点と線』『砂の器』、占領期の謎に挑む『日本の黒い霧』、2・26事件を描いた『昭和史発掘』、天皇制

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原武史著『「昭和天皇実録」を読む』(岩波新書、2015年9月刊)を読んだ。内容は、「神」と「人間」の間(「昭和天皇実録」から何が読みとれるか)、幼少期の家庭環境(明治時代)、「和風」と「洋風」のはざまで(大正時代)、実母との確執(昭和戦前・

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久しぶりに台湾映画「台湾、街かどの人形劇」(楊力州)を見た。なぜこの映画を見たかというと、私は侯考賢の映画が好きだったことがあり、台湾の人形劇「布袋戯」(ほていぎ)を描いた侯考賢の物語映画「戯夢人生」(93)の李天禄の演技が強く印象に残って

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『在日総合誌 抗路 第6号』(特集・「在日」の新時代)を読んでいる。冒頭の座談会は”「在日」の新時代”で第1世代の金詩鐘さん、第2世代の趙博さん、姜信子さん、そして若き第3世代の朴、金村さんと違う角度での「在日」に関わる討論で興味深い。また

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石川達三著『生きている兵隊』(中公文庫)を読んだ。石川達三といえば、私が高校3年生時に見た勤評闘争を描いた映画「人間の壁」(山本薩夫)の原作者で、当時原作も読み、強く印象に残った。1937年の7月7日に盧溝橋事件が起こり、戦線は中国北部(華

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大森淳郎・渡辺考著『BC級戦犯 獄窓からの声』(NHK出版、2009年)を読んだ。この本は昨年の大阪北部地震で被害にあった私の仕事部屋の本を移動、整理した時に出てきた。読むタイミングだったようだ。10年前の出版で、朝鮮人および日本人のBC級

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気分転換に「ブライトバーン/恐怖の拡散者」(デビッド・ヤロベスキー)を見た。田舎町の農場に“墜ちてきた贈り物”である男の子は超人的なパワーを持っていた……。次から次へと人が殺されていく。その恐怖……。作る側はいかに観客を怖がらせるか、喧々諤

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私の知人I氏から『父の足跡を探る(シベリア抑留)』(私家本)が送られてきた。彼は私より8歳下で、高校時代にベトナム反戦市民運動に関わった世代であり、お父さんのシベリア抑留体験を調べていて、交流がある。以下は彼に送った読後の感想である。 お父

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北村小夜著『画家たちの戦責任/藤田嗣治の「アッツ島玉砕」をとおして考える』(梨の木舎)を読んだ。北村小夜さんとは裁判の傍聴とか集会でご一緒したことがある教員の大先輩である。その北村さんがなぜ画家たちの戦争責任を問う本を出されたのかと思いなが

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「永遠の門 ゴッホの見た未来」(ジュリアン・シュナーベル)を見た。ウィレム・デフォーがゴッホを演ずるので見たいと思っていた映画だ。ゴッホを描いた映画は多いが、だいたいはゴッホの置かれた社会的な面(関係)を「外から」とらえたものが多い。しかし

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吉田裕著『昭和天皇の終戦史』(岩波新書、1992年)を読んだ。昭和天皇とその側近グループが東京裁判への対策として、天皇の免責と戦争責任追求回避のために作られた弁明の文書「昭和天皇独白録」を分析し、天皇の戦争責任の明確化と側近グループの「国体

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大沼保昭著(聞き手・江川紹子)『「歴史認識」とは何か/対立の構図を超えて』(中公新書)を読んだ。大沼保昭さんは国際法学者で、戦争責任、戦後責任の問題を研究者としてだけでなく、国の政策実現への関与(「村山談話」の作成、「アジア女性基金」にも関

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山口二郎著『民主義は終わるのか/瀬戸際の日本』(山口二郎)を読んだ。第二次阿倍政権は長期化し、その暴走が続いている。森本学園問題(その文書改ざん)、家計学園の獣医学部新設問題(総理案件としての特別扱い)、最近では桜を見る会での阿倍の専横等枚

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岡崎勝・赤田圭亮編『わたしたちの本音で語ろう教員の働き方改革』(日本評論社)の「学校暗黒社会」を読んだ後、座談会「教員の労働問題」(大内裕和、岡崎、赤田)、「部活動問題を考える」(内田良、赤田、岡崎)を読んだ。このパートで論じられていること

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岡崎勝・赤田圭亮編『わたしたちの本音で語ろう教員の働き方改革』(日本評論社)が出た。現在の学校現場の実態・教員の置かれている現実からの「働き方改革批判」はまさにこの本だ。他にはこの論点からの批判は見かけない。「学校暗黒社会」の岡崎勝、赤田圭

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先日著者の講演を聞いたので、早川タダノリ著『「日本スゴイ」のディストピア/戦時自画自賛の系譜』(朝日文庫)をネットで購入し読んだ。講演を聞く前には、著者の『神国日本のトンデモ決戦生活/広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』(ちくま文庫

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 読書のペースが復調した。大木毅著『独ソ戦/絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)を読んだ。この本は新聞の書評で知り、すぐ買った。戦後の「独ソ戦」に関する理解は、その責任をヒトラー個人に帰し、ドイツ国防軍を免責する論調がドイツおよび欧米で強く、また元

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高桑みどり著『クワトロ・ラガッツィ(上)/天正少年使節と世界帝国』(集英社文庫)を最後の最後まで歯を食いしばってて読んだが、面白くなくて、とうとう読むのをやめた。昨年末の週刊誌の書評特集で天正少年使節に関する本のおすすめとして紹介されていた

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「真実」(是枝裕和)を見た。是枝監督がフランスで撮った日仏合作映画で、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品となった。是枝監督は最近の「万引き家族」で知られるように貧困を背景にした家族を扱った映画を特徴とする。今回の「真実

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鶴見俊輔著(聞き手:北沢恒彦他)『期待と回想 下巻』(晶文社)を読んだ。鶴見俊輔への聞き取りで、下巻は、伝記のもつ意味、外からのまなざし、編集の役割、雑誌『思想の科学』の終わりとはじまり、自己批評(あとがきにかえて)だ。私の関心としては「雑

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図書館で借りた鶴見俊輔著(聞き手:北沢恒彦他)『期待と回想 上巻』(晶文社、1997年刊)を読んだ。鶴見俊輔への聞き取りで、上巻は、アメリカ哲学と出会う、かるたの思想、記号のプラグマティズム、転向について、意志のあるところ、アナキズムは何の

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中澤晶子さんの児童文学作品『その声は、長い旅をした』を読んだ。東京の四番町少年合唱団の藤枝開と船原翔平に思いがけないできごとが起こり、ふたりは天正時代にローマに派遣された少年使節と「声」と「音楽」によって結びつけられていく。命がけで大海原渡

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今度講演を聞く予定の本を苦労して探し、やっと見つけた本が早川タダノリ著『神国日本のトンデモ決戦生活/広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』(合同出版、ちくま文庫)だ。実は昨年の地震と台風で私の仕事部屋が被害を受け、その復旧後、本をとり

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江成常夫の写真集『被爆/ヒロシマ・ナガサキ いのちの証』(小学館)を読んだというか、視た。地元の図書館に『フォークナー文学の水脈』を返しに行った時、新着コーナーにこの写真集があり、すぐ借りた。こちらの図書館は本の品揃いがよく、私のリスペクト

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