コロナ禍の大晦日、ホテルのバーに集った三人の八十代男女がいた。
この作家にしては珍しいようなセンセーショナルな「事件」から始まる長編で
とても面白かった。
アガサ・クリスティーばりの登場人物の多さに少し辟易しながらも
どんどん引き込まれてしまうのは、冒頭の三人の、子や孫たちが個性的で
極端すぎて、おかしくさえ感じられるから、か。
いかにも、の江國ワールド炸裂。
血縁関係に気を付けながら、どんな結末を迎えるのか、謎を追うようにページをめくり、
或いは、その「事」の意味はなんだったのか?考えつつ立ち止まる。
ちょっとだけミステリーの香りがして、
読み進むにつれ、「事件」の背景がわかってくるのが面白くて、
でも、推理小説とは全くの別物で、
さすが、の一冊だった。
けれど、今、シビアに闘病中の人には勧められない。
また、ある意味、親(祖父母)を恋うような物語でもあった。
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