アクセスが大変不便な博物館だけど、工夫して行ってきた。
意外に客が入っていて、危うく密になるところ。
戦後、棟方は東京に戻ってきて、荻窪駅にほど近い所、
アトリエ付きの住まいで制作に励んでいた。
疎開していた富山県福光で力を蓄えてきた後
国際的にも大賞を取ったりして脂がのってきた頃だ。
この展示では、住まいのトイレに描いた絵の再現も面白かったが、
板画や日本画の他、本の装丁の仕事でも名を挙げ、
例えば谷崎潤一郎の"鍵"のような美しい装丁本も数多く展示されていた。
実は杉並区では過去に、中央図書館で、棟方の本の仕事展は開催されていて、
それを縮小しての良いとこ取りみたいだった。
制作中の棟方を撮ったドキュメンタリーも、テレビで上映されていたが、
おもしろかったのは、二階に並べられた、
荻窪の家で志功が点主を務めた茶会の写真。
アトリエの中が写っていて、興味深い。
また、数々の写真には、プライベートで棟方家を訪れた
草野心平や檀一雄らの姿もあり、それもおもしろかった。
茶道具も、え?!というような名品(と思われる)を使っていて、
芸術家というのは、自分自身の作品以外でも、
芸術性の高い物に囲まれて暮らしていたのだろうと伺えた。
同じ杉並区立郷土博物館でも、分館(荻窪駅北口徒歩10分位)では
荻窪の家での周囲の様子などを伺えるような小規模展示があり、
そちらは無料。
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