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2020年11月23日11:52

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「月の満ち欠け」佐藤正午著(岩波文庫的)

2017年直木賞受賞作が、伊坂幸太郎の特別な"解説"付で文庫化。
しかも、岩波文庫そのものではなくて、文庫的という。特別感たっぷりな長編。

一言で言うと大変面白かった。
月が新月から満月、そしてまた戻っていくような、
生まれ変わりを伴うユニークな恋愛物語、
ファンタジーとも穏やかなホラーとも評せる、かも。

本を開くと、時計のイラストと普通の数字の章立てからして、粋で巧みだ。
読み手は、まず東京駅に八戸から出て来た、第一の主人公・小山内の視点から、スタートに立つ。

彼と家族の過去が語られる初っぱなから、
何やら怪しげ、もしくはファンタジー的な匂い。
それから、一人の大人の女性と、彼女をめぐる男たちの恋愛模様が展開する。

そこここに昭和の歌謡曲とか洋画とかが散りばめられていて、
懐かしくて嬉しい。
例えば黛ジュンの「夕月」やゴールディ・ホーン主演の「ファウル・プレイ」など。

たまたま一昨日民放のバラエティで、若くして事故死した青年の話を語れる子供の母親をチラ見した。
つまり実際に生まれ変わりという現象が有る、とその番組は示唆しているようだった。
もし本当にそうだとしたら・・
会いたい人の一人くらいは誰でも居るだろう。
これからは注意を払って「合図」を探すか。
って、この小説では、亡くなった人に共通するのは
若くしての不慮の死、のようだけど。
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