mixiユーザー(id:7990741)

2022年09月01日10:53

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「おいしいごはんがが食べられますように」高瀬隼子著 (群像 2022 1月号)

今回の芥川賞受賞作、評判通りモヤモヤする小説だが面白く読めた。
職場の人間関係がリアルに描かれるが、平易ともいえる文章で
登場人物達の心情を掘り下げる手腕は、見事だった。

支店長以下が同じフロアで仕事をするらしい会社、
そこには正規もいれば、バイトもしくはベテラン派遣社員も混在している。
冒頭から、ある意味セクハラともいえる事が起きて、
読み手ーー特に若い読者はゾッとさせられるのではなかろうか。

そんなザワザワ感が漂う中、いつも上司にえこひいきされる女性正社員·芦川さんが浮かび上がってくる、
と同時に彼女をよく思わない社員たちーーとりわけ押尾が、どうやらヒロインらしい、とわかる。

もう一名、アラサーの男性·二谷と、ゆるーい三角関係のような、
そうとも言えないような関係が展開するのだが、
芦川さんの職場での有り様が、昭和の終わり、一世を風靡した
あの、ぶりっ子アイドル歌手を連想させられ、私は不愉快になっていく。
どうなる?押尾ガンバレ!と読み進むと…

ラストの一文が大変秀逸で、
あぁ、だからこの世から「芦川さん」は無くならないのだ、と納得の小説。

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