実在した芸術家達を鮮やかに面白い小説に仕立てる作家が
今回は京都をメインテーマにした。
タイトルの読み方は、京都の外から入ってきた"他所からの者"に対する呼称だとか。
時は東日本大震災直後、まだ関東に放射能汚染の恐怖があった頃
銀座の画廊の長男が、京都に「避難して」いる身重の妻・菜穂に会いに行くところから始まる。
菜穂は不動産会社の令嬢として贅沢に暮らしてきたが、
その芸術に対する審美眼は抜群で、亡き祖父譲りだ。
ということで、家族の持つ財団が運営する美術館の
実質的な運営を母親と共に仕切っている。
そんな菜穂は京都の画廊で、ある画家の作品と運命的な出会いをする。
その若くて美しい女流画家は・・・
連載小説だったから、ところどころ状況説明的な文章があり、やや煩わしい。
しかも伏線が少し取って付けたみたいな節もある。
でも京都に住まうよそ者として、身重でありながらも頑張る菜穂が
わがまま娘からビジネスウーマンとして自立していく過程が、興味深い。
舞台が舞台なので、季節季節による祭やしきたり等の描写も面白かった。
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