テレビドラマになったらしいのだけれど、そうとは知らず借りてみた。
まずは登場人物リストの多さに腰が引けたが、やっぱり面白かった。
ある県立高校の入試日前後の話なのだが、一高というナンバー校だけあって、
ものすごいエリート意識の高い高校が舞台となっている。
しかもヒロインは帰国子女が売りの、若い美形の英語教師。
先生たちの会話から人間関係とか彼らの立ち位置などを読ませつつ、
いわゆる「犯人は誰だ?」形式の推理小説になっているのだが、
一つ大きな点がある。
ネタばれになるけど、
殺人は起こらない
これが、この作家の他の小説と趣を異にしている。
でも誰も殺されなくても、はらはらドキドキ感は味わえるし、
たいそう多い登場人物たちの言動から、それぞれの個性が読み取れて
キャラクターを楽しむ小説でもある。
湊ワールドとしては少し毛色の違うところが、また魅力的な一冊だった。
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