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2016年05月30日11:25

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「スコールの夜」 芦崎笙著

2013年に日経小説大賞を受賞した長編。
メガバンクの女性キャリア一期生の奮闘ものがたり。

作者は元銀行マンかと思いきや、現役の財務省の官僚、60年くらいの生まれ。
金融庁の勤務もしているということで、銀行の描写がリアルっぽいのかも。
ただ、入選作ということで、なんとも練れていないというか、たどたどしいと感じるところも多々あった。

ヒロインは42歳バツ一で、東大法学部卒という設定。
ところが、バックグラウンドが、いわゆる女子御三家の出身ということで
タフなようでいて、脇が甘いというか、プライベートでは大失敗をしでかしていて傷を負っている。
そのあたりの描き方も、いかにも不慣れな男性作家という感じがして、もどかしかったりした。

もしかしたら、この作家、御三家出身女子の同期官僚に
振られたなどの、うらみがあるのかも、とさえ想像できる。
(そう考えると、色々納得できるようなストーリー展開)

ふりかかる災難が意地悪度高い(難問度ではなく)し、
それに対するヒロインの感じ方みたいな点が、あまり好感度が高くないから。
実際のところ、ちょっとした知り合いに、共学の高校出身の東大卒女性たちがいるけれど
皆様官僚にしろ国立系病院の医科長クラスにしろ、本当に立派な方々で、
この小説に出てくる女性とは全く違う。現実の方が小説っぽかったりして。

ヒロインは、大出世をしてついたポストで、いきなり子会社の清算という難題を任される。
それに当たり、部下とかカウンターパート、また会社の顧問弁護士のやり手のガツガツ男と
戦い、協力などしながら、がんばっていく、というお仕事物語。

なぜこれを読もうと思ったかというと、久しぶりにテレビドラマに小雪が主演する
という、その原作と聞いたから。

おもしろかったか、というと、まあまあ。
次を読むかというと、この作家にはあまり期待はできない。
逆に、私が好んで読んできた作家たちが、いかに優れているのか、今更確認できた、
みたいな感じ、かな。
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