もし、安青錦が足に怪我していなかったら?
もし、安青錦が足の小指を痛めていなかったら?
もし、はスポーツには禁句だけれど、
相撲ファンの多くが、名古屋場所の15日間を観戦して
そう感じたのではないか。
決して大きくない体でまだ経験も浅い。
大関に地位を下げてまでして休場して関脇の地位で、
しかも怪我が癒えないままで臨んんだ名古屋場所だ。
誰だって(私も)大関復帰への条件である10勝できれば、
上々と思っていただろうが、10勝どころか優勝したのだから、
狐につままれたようだ気分だったろう。
圧巻は、12勝2敗で迎えた千秋楽の熱海富士戦の一番だった。
負けたこととで、安青錦と熱海富士、霧島の巴戦になったのだが、
どこが圧巻だったかというと、熱海富士に敗れたことで、
安青錦はすでにその後の巴戦の戦法を
頭に描いていたのではないかという思えることだ。
くじ引きによって二番手に登場したことも安青錦にとっては
有利だったとも思える。
霧島に勝った熱海富士の次の相手は本割で圧倒した安青錦であり、
一気呵成にと優勝への気持ちが昂っていたはずで、
冷静でいられる方がむしろ不思議だ。
安青錦は立ち会いから、冷静に左手で前みつをつかむや
一気に押しまくり、熱海富士に何もさせなかった。
そして次の霧島にも、同様に左手で前みつをつかみ、
相手の胸の下に潜り込むいつもの低い体勢から、
霧島を反り返させ、真骨頂の外掛けで体を崩して寄り倒した。
圧巻の攻め。冷静な取り口。
繰り返しになるけれど、もし、足に怪我をしていなかったら
と思わないではいられないほど、底なしの精神力の持ち主だ。
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