久しぶりにUNICORNさんのお宅にお伺いしました。
そのサウンドはかなりの変身ぶり。まず聴いてみての第一声は、「冴え冴えとした音」とのひと言。
音が澄んで明瞭、色合いも肌触りもはっきりとしていて明解。何よりも音がほぐれて混濁することがありません。ぐっと鮮明なサウンドになり、そういう印象がはっきりと胸に落ちたのです。
先ずはジャズをいろいろとお聴かせいただきました。
ご一緒したMさんがギターのファンであることを見越してのチャーリー・クリスチャン。ジャズ・ギターの開祖ともいうべきギタリストでSPの復刻という渋いディスク。
『ジャズ・アブストラクションズ』は、これもギター・ファンのMさん向けでもあるのでしょうが、もちろんビル・エヴァンスのピアノも聴きどころ。
それは『ホワッツ・ニュー』も同じ。ジャズ録音らしからぬピアノの濃いめのリアリティに瞠目させられました。
例のアート・ペッパーの『ミーツ・ザ・リズムセクション』も聴かせていただきました。オリジナル盤の立体音場に納得です。こうした立体音場に無関心な方が多いジャズ・ファンにはこういう再生はなかなかできないでしょうし、モノラル盤の方が良いという誤解も生ずるのもやむを得ないところなんだと思います。
最後は女性ボーカル。モニカ・ゼタールンドの『ワルツ・フォー・デビイ』。ヨーロッパでの録音だけにビル・エヴァンスの弾いている楽器には興味津々、とてもよい音色です。
さて、ここからクラシック。
レオンハルト・コンソートのパーセル。《コンソート》というのは、ガンバ属の弦楽合奏団(ヴィオール・コンソート)のこと。ガンバ属(ヴィオラ・ダ・ガンバ属)というのは、ヴァイオリン属と同じ擦弦楽器ですがチェロのように足で挟んで弾く弦楽器。《ガンバ》というのはサッカーチーム《ガンバ大阪》と同じ《足》という意味です。弓の持ち方もヴァイオリン属と違っていて、それはコントラバスの運弓法に名残をとどめています。
そのコンソートの音色と響きが見事。ちょうど先日、UNICORNさんとご一緒したコンサートの生の音を共有しているのですから間違いはありません。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988984271&owner_id=26897873
私が持参したブリュッヘンのLPも掛けていただきました。同じテレフンケンの録音です。
さらに、やはり古楽器系のホグウッドのモーツァルトもかかりました。こちらは、デッカ傘で、イギリスの古楽系の代表的レーベルのオワリゾール。
思わず、つい羨望とも本音ともつかぬひと言を吐いてしまいました。
「ここだけ聴いたら、まったくクラシック音楽好きがチューニングした、クラシック音楽向きのシステムだと思われてしまうかもしれませんね。」
これには、UNICORNさんがニヤリ。
……でも、ついさっきまでジャズをかけていた同じシステム。UNICORNさんは筋金入りのジャズフリークなのです。
やれJBLがジャズ向きでタンノイはクラシック向きだの、あるいは、ジャズ向きとクラシック向きと別々のシステムで使い分けている……などと仰る向きには信じられないでしょうが、ちゃんと再生すれば同じです。ちゃんと再生できていないから○○向きだのということになってしまうだけ。
ことのきっかけは、シャルランレコード(Vivaldi-Bach)の再生だったそうです。
うまく鳴らなかったのです。
最後の最後のひと針は、左壁になるクロゼット扉の鳴きを押さえ込んだこと。工夫に工夫を重ね、振動や共振を抑え、最後に扉の嵌合の接触歪みを解消したことだそうです。 “the straw that broke the camel's back"というわけですね。
分解能や歪み、音色、響きの濁りなどは、位相(時間軸)特性の問題です。そのことは、山口克巳さんがシャルランレコードの再生の難しさについて書いている通りです。《位相》というと電気回路や、スピーカーのネットワークやユニットの問題ばかりが言われますが、山口さんの指摘は、最後にはルームアコースティックにも及びます。UNICORNさんの探究もまったく同じだったようです。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986636973&owner_id=26897873
私の第一印象 ――「冴え冴えとした音」というのは、どうやら間違いなかったようです。
マランツ#7の帰還型フォノイコライザーの優秀さ、ジャーマンフィジクスのユニコーンのシングルユニットの優秀さも、あわせて再確認させられた思いがしました。
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