楽しみにしていた公演なのですが、初めはちょっぴりだまされたような気分でした。それは、イタリアに本拠地を置くバロック室内管弦楽団という触れ込みだったから。それなのにステージには、たった5人。アンサンブルというよりは弦楽5重奏団。プログラムもド
題名にかかわらず、香港が日本統治下にあった3年8ヶ月のことが語られることはない。日英華の三人の男の酒の上での会話を中心に、陥落直前と回復後の後日譚が描かれるのみ。外形はなかなか立派だが、中味はまったく空っぽ。ロンドン駐在のエリート外交官のキ
惣菜と珈琲のお店「△(さんかく)」を営むヒロ、晴太、そして中学三年生の蒼の三人兄弟だけの家族が仲睦まじく暮らす。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は中学校に通う。「兄弟」とはいえ、三人は実は血がつながっていない。それぞれの事
デビュー作『つぎはぐ、さんかく』で注目された著者の第二作。若い新人作家とは思えない巧みな構成、筆致と人格描写。二人の女性の痛切な人生を描き、読後にはじんわりと心に染み入る感動が心地よい。市役所の地域福祉課に正式配属となった新卒採用の青葉祐太
人形浄瑠璃・歌舞伎作家・近松門左衛門(本名・杉森信盛)の一代記。歌舞伎に造詣の深い松井今朝子ならではの史実を徹底的に深掘りし、忠実に再現しながらもフィクションとしての想像力と機知に富んだ色気で近松の事績を追う。決して波瀾万丈などとはいえない