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2019年09月08日07:44

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オーケストラの革命 (デア・リング東京オーケストラ コンサート編)

デア・リング東京オーケストラとは、西脇義訓氏がみずから立ち上げたオーケストラ。その西脇氏の本職は、指揮者ではない。西脇氏は、もともとは、フィリップス(旧日本フォノグラム)の音楽プロデューサーでした。

音楽媒体の退潮とともにレコード業界は再編を予備無くされ、フォノグラムは、ドイツ・グラモフォンやイギリス・デッカとともにユニバーサルの下に再編され、やがてフィリップスのロゴは消滅してしまう。

氏は、意を決して、日本フォノグラムを退社。同僚のレコーディング・エンジニアの福井末憲とともに独立してN&Fという新しいレコード会社を設立した。氏が50歳のとき。N&Fは、サイトウ・キネンや水戸室内管弦楽団などの録音を担当し、あるいは、長岡京室内アンサンブルやジョセフ・リン、宮田大らのアルバムを制作しています。

デア・リング東京オーケストラ(DRT)は、これまでの録音プロデューサーとしての体験を通じて得た考えから新しい録音の試みに挑戦しようと私的に公募で集めた、いわば録音セッション・オーケストラ。西脇氏は、指揮者も兼任する。それが、やがて、録音セッションだけではなく本番として公演活動もしようということになって、今回は第2回目の公演です。

さて、どこが「革命」なのか?

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先ず真っ先に目につくのは、その特異なオーケストラ配置。

常識は、ステージ前面から第一・第二Vn、Va、Vc、Cbと五部の弦楽器をグループ分けして扇形に配置し、その後方に管楽器を2〜4列ぐらいに並べるというもの。管楽器も二管編成なら、首席・次席と隣同士にして並ぶというのもほぼ例外なしの原則です。

DRTは、まったく違う配置です。

公演前半の「未完成」では、弦楽器はまるで弦楽四重奏のように4人で集まり、そこに木管楽器が一名加わり、そのクィンテットの小島がいくつも連なって配置されるということになります。管楽器は、首席も次席もバラバラになってその島に所属しますので、第1フルートと第2フルートとは、ばらばらでしかも遠く離れてしまいます。

え〜?こんなんでいいの??という感じですが、こうした配置の方が隣のパートが聴きやすく密接で自発性に満ちたアンサンブルになりやすいのだそうです。聴いてみると、厳密にはアインザッツやリリースがあまり合っていないのですが、そんなことはお構いなしで、むしろ、ホール全体を「未完成」独特のミステリアスな響きで満たして客席を包み込むような感覚で勝ります。

反面、各パート、特に人数の多い弦楽器の音量が全体に大きくなりがちなところが気になります。音楽のダイナミックス、特に密やかで聞こえる聞こえないかというくらいの最弱音が出にくく、全体にシューベルトの音楽ドラマが少し大味になっている気もしました。


後半のブルックナーは、また、違う配置です。

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こちらは、「教室型」とでも言うのでしょうか、ステージ前面に対して横一列に並びます。最前面からVc、Vaと2列、その後方は、左右に第一・第二Vnが2列ずつ並びます。その後列には木管楽器やトランペットが、やはり、ばらばらに並びます。ホルンとトロンボーン、ワーグナーチューバの一群だけは和声の一体感を重視してか、楽器グループ毎に並んでます。面白いのは第一・第二のVnが一般とは違って、右第一、左第二と逆になっています。これは、バイロイトの並びに倣うという西脇氏のこだわりだそうです。

この異端の配置は、何と言っても、ホール全体の空間が響きで横溢する感覚。パートは幅広く大きく分散するので、音色は対立的に掛け合うというよりも全体に融合するハーモニー重視。

私たちの席は、最前列から5列目でかなりステージに近い左側の席でした。2台ずつ左右両翼に配置されたコントラバスが正面になるのですが、このコントラバスの音が少しも鳴っているように聞こえないのです。もちろん全体としては低域は十分です。チェロと重なって重厚なピラミッド型音響です。ところが個別の楽器は例え至近距離であっても聞こえません。よく「スピーカーの存在が消える」ということが言われますが、それがナマのコンサートでも起こってしまいました。何とも不思議な気分でした。

だから、音の輪郭は曖昧で、方向感覚は無くなりモノーラル的ですが、響きはとてもスケールが大きいのでブルックナーにはうってつけでした。

実は、「革命」というのはこれだけではありません。

スケルツォ楽章では、何と西脇氏は指揮をやめてしまいました。その前後も、西脇氏の指揮は頭出し程度で身振り手振りも小さく指揮者らしくないのですが、その楽章では両手はすっかり下げてしまい譜めくりをしているだけ。トリオからダ・カーポで始めに戻るときは両手で数ページをまとめてヨイショと…。まったく指揮者不在なのです。

このことは、また、続編で…




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西脇義訓 指揮
デア・リンク東京オーケストラ
第2回公演

2019年9月4日(水) 19:00
東京・初台 東京オペラシティコンサートホール

シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D.759「未完成」

ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ハース版)
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