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2017年12月21日17:10

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真っ直ぐで正しい (マイクキタ邸訪問記)

マイクキタさん宅のオフ会。ついつい番外編を連投してしまいましたが、いよいよ本題です。

マイクキタさんは、今年80歳になられたそうですが、ご親戚の不動産管理会社の顧問役、趣味のドライブにゴルフにと意気軒昂。何よりもオールウェスタンにこだわった本格的な真空管アンプ製作もいまだに現役。重いアンプを返し戻しの自作は驚異的にエネルギーです。

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そのマイクキタさんからお誘いがあって、UNICORNさんとお訪ねしました。訪問は半年ぶり。その時もやはりUNICORNさんとご一緒で、新作のRCA245による単段シングルアンプと、WE350Bのプッシュプルとの比較。今回は、やはりそのアンプの比較になりますが、いろいろとブラッシュアップしておられて、アンプのほうもウェスタンオリジナルの回路で組み直されたそうだ。私が、昨年の2月に湯布院で泊まった宿にあったアンプと同じ回路だそうです。今回は、その試聴評価と忘年会を兼ねてというわけなのです。

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部屋に入ると、ウェスタンのユニット597と728による2ウェイ。ウーファーはフロント・ロード・ホーンのキャビネット。マイクキタさんは、身軽なジェンセンのシステムに換えられて小粋に楽しんでおられるとの風の便りに聞いていたのですが、やはり本格的に楽しむには役不足ということでウェスタンに戻されたとのこと。

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聴いてすぐに「あれ???」と思ったのです。

オールウェスタンのビンテージシステムは、エネルギッシュで独特の鮮度の高い音色で素晴らしいサウンドですが、奥行きや左右のバランスなどはあまりいとわずストレートに音が迫ってくるところがあります。それだけに「音場」というのにはこだわりがないところがあったのです。ところが、今回、聴かせていただくとエネルギッシュなストレートな押し出しはそのままに、ふっとほどよい奥行き感も伴っています。

音像が林立するような現代的ハイファイではありませんが、とても味よく自然なステージ感を感じさせます。いやむしろ現代ハイエンドにありがちなわざとらしい立体音場ではなくて、ごく自然な聴き心地のよい音場感。こんな音がトーキー用をルーツとするウェスタンから出るんだという驚きです。これまでマイクキタさんのサウンドにはなかったディメンションが現れたのです。

どうもその秘訣は、スピーカーの足下のウェルフロートボードに間違いありません。

前回からの工夫は、このウェルフロートボード導入などのスピーカー足下固め。そこにはどうもご近隣の《あのお方》の影がちらつきます(笑)。マイクキタさんのお話しでは、ウェルフロートだけではダメで、その下に重量のある厚い無垢板を敷いて思うような音になったそうです。そのご説明には胸にすとんと落ちるものがあります。その他、ちょっとした工夫も怠っていないところがマイクキタさんのすごいところです。

スピーカーの左右バランスもよく出ています。「セッティングは細かく手を入れられたのですか?」とお聞きすると、「いや、ポン置きですよ」とのあっけないお返事。確かに部屋の幅ほぼいっぱいに配置しているのであまり動かしようもなく、ボードを置くと位置も自動的に決まってしまうところがあります。マイクキタさんのご気性もミリ単位の調整など、そういう小さい人間の所作を超越しておられます(笑)。それでいてこの音場とバランスの良さが出てしまうのは、おそらくウェルフロートボードの成果なのだと思いました。

テーマのアンプ・バトルもなかなか興味深いものがありました。

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ひとわたり350BPPで聴いた後に、単段シングルアンプとの比較試聴です。比較用には、まずジャズの権威であるUNICORNさんの目利きのためにクリフォード・ブラウンのディスクです。

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モノ盤でカートリッジは、デッカの「げんこつ」。最初に350BPPで聴くと、ジャズ知らずの私は「おお、これがほんとうのブラウニーの音だったのか」と感服してしまいました。この録音は、私がシステムチューニング用によく使っているCDだから聞き覚えがあります。我が家で聴き慣れた音より、もっと複雑、華やかで色香があります。

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単段シングルにすると、がぜん音がストレートになってトランペットの音の鮮度が上がります。あたかも手で触って感触を確かめることができるかもしれないと思わせるほどの実在感にこれまた感服。ところが350PPで聴いた華やかさとか色香が感じられません。高域のレンジが狭くて倍音が失われた感覚があります。我が家の聴き慣れた音にむしろ近い気がします。

UNICORNさんの下した裁決は、だんぜん単段シングルでした。

確かに、単段アンプのほうが正確にストレートに音を伝える感じがします。芯もしっかりしています。UNICORNさんの弁では、このディスクはとにかくブラウニーの音だけを聴くもの。後ろのストリングスだとかは飾り付けに過ぎない。唇の形とか息づかいとかの細かい動きや聴かせどころがだんぜん単段アンプが上手(うわて)で350PPでは聴き取れないというのです。これは確かにその通りです。こういう目利きの鋭さはさすがUNICORNさんです。

ところが、クラシックを聴くと、私には350BPPのほうが好ましい。

周波数帯域が広いクラシックでは、例え帯域の狭い50〜60年代の古い録音のフランチェスカッティなどを聴いてもやはりちょっと寂しい、物足りないところがあるのです。何よりも倍音が不足します。その帯域の狭さを除けば、確かに単段アンプのほうがあらゆる点で好ましいと感じます。とにかく真っ直ぐで正しい。

結局、どちらもいいねということで一同大笑い。私の感覚も間違っていないとのことで、単段シングルはノンNFBということもあって帯域が狭いのだそうです。350BPPはNFBもかかっていて可聴帯域は十分にカバーしているのだとか。決して収録帯域が広いわけでもない古いレコードなのですが、その違いを感じてしまうというのは不思議です。

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ちなみに、その後、我が家でもクリフォード・ブラウンのCDを聴き直してみましたが、単段アンプのほうの音がしました。ちょっと安心しました。

メインテーマをこなしたところで、酒宴の開始です(笑)。

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いつもながらマイクキタさんお手作りの酒肴をいただきながらの乾杯。とにかく、素晴らしい手料理でのおもてなしでひたすら恐縮してしまいます。そこにUNICORNさんお持ち込みの会津・喜多方の地酒と私の広島土産の牡蠣のオリーブオイル漬けも加えてテーブルは花盛り。喜多方の地酒はマイクキタさんが酒蔵を訪ねたことがあるというこでのリクエストだったそうです。

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小澤征爾のカラヤン生誕百年記念ベルリン・フィルコンサートのビデオなどを観ながらオーディオ談義やら音楽談義やらに花が咲きます。ティンパニーの一撃の話しが出たのも酒宴たけなわのなかのひとコマだったというわけです。

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ほんとうに心の底からうれしくなるような楽しい一日でした。

マイクキタさん、ありがとうございました。

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