やってみました。
UNICORNさんの日記「Stereo装置での左右バランス確認の不思議」の検証実験です。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1962237563&owner_id=21336100
UNICORNさんによれば、ステレオの左右バランス調整にモノ盤のボーカルで確認をとる人が多いけれどもそこには落とし穴がある、という。女性ボーカルでは真ん中に定位していると思っても、テナーサックスなどをかけてみると実は左右に寄っているということが多いというのです。人間の声は周波数帯域が狭く静的なとらえ方がされているので、この左右の差がとらえにくいというのです。
その原因は、部屋の影響、特にスピーカー位置が左右の壁からの距離が違っているなど左右の響きや反射条件が違っているためだということです。これについてGRFさんが、ダイアナ・クラールのCDをモノ接続にして、左右どちらかのチャネルの位相を反転させるとボーカルだけがきれいに消えるとコメントされています。
さっそく検証実験してみました。
検証は、バランスがとってある状態のシステムで、女性ボーカル・モノ盤をかけてみて、左右のバランスボリュームを左右に振り、中央定位がどこまで保たれるか聴感で確かめてみるというものです。
私のシステムは左右のバランスと焦点が完全に合わせてあります。部屋は、お茶の間オーディオなので、左右不均衡の典型のようなもの。右にはフラットディスプレイのTVが斜め向きに堂々と置いてあり、部屋の定在波の影響を抑える目的もあってスピーカーは部屋の中心軸をあえて外して設置しています。当然、各スピーカーの横壁面からの距離が違っています。
女性ボーカル・モノ盤は、私が左右バランス調整にいつも使用しているクリス・コナーの「バードランドの子守唄」を使いました。
テナーサックスは、UNICORNさんご指定の「クレッセント」はステレオ盤しか持っておらず、しかもテナーは左であって中央定位ではなかったので、同じコルトレーンのモノ盤から「コートにすみれを」を使用しました。
また、私が調整用のバックアップに使用しているクリフォード・ブラウンの「スターダスト」も試してみました。
私のアンプは、左右独立のゲインコントローラーがついています。センターバランスの調整を私は左右の音量バランスでとっているわけではありません。左右のゲインはどちらも最大値で合わせ、スピーカーの向きのミリ以下の単位での調整で合わせています。ですから、左右どちらかのゲインを下げていくことで音量差をつけていきます。ゲインの差は最大最小で9dBあります。正確ではないですが1目盛でだいたい1dBとみてよいと思います。kこれはあくまでも目安です。アナログなのでいい加減で申し訳ありません。
実験の具体的な方法は以下のようなものです。
(1)左右の音量バランスを動かしてみると、左右差が出るか?
(2)左右差が出ないとしたら、どのくらいの音量アンバランスまで中央から聞こえるか?
(3)左右差が出てくる音量バランス限界は右と左で違うか?
(4)左右バランス限界値はボーカルとサックスなどで違うか?
というものです。
結果は、UNICORNさんの主張を裏づけるものでした。
クリス・コナーの「バードランドの子守歌」を聴いてみると…
(1)左右どちらかのゲインを絞って音量差をつけても、ある限度までは中央定位はまったく動きません
(2)さすがに左右差が大きくなると、左右どちらかに寄ってしまいますが、その限界値は基準の最大ゲインから−1.5〜−3.0dBぐらいでした。
(3)左右どちらを絞るかによってその限界値が違います。拙宅の場合は左の方が敏感で限界値は左右でおよそ1.5dBぐらい違います。
(4)女性ボーカルとテナーサックスでは、その敏感さ(限界値)があきらかに違いました。左が敏感というのは同じですが、クリス・コナーのボーカルとコルトレーンのテナーサックスでは各々1dBぐらいの差があります。クリフォード・ブラウンのトランペットは左右の差がほとんどありません。限界値は、ボーカルとサックスの中間でした。
左右の響きや反射の不均衡はどうしてもあると思います。オーディオ専用ルームといえども完璧に左右対称ということはあり得ないでしょう。ラックの位置やちょっとした物の置き方でも影響するからです。しかも、その影響は周波数帯域によって違います。声や楽器の複雑な倍音構成(スペクトラム)もあるのでその影響はとても複雑です。
ですから、最終的な調整は、ステレオ盤、しかもペアマイクでステレオ音場をとらえているクラシック音楽のディスクで合わせるべきです。私も、女性ボーカルのモノ盤を使いますが、これはあくまでも最初に近似最適点にしてしまおうというためで第一歩に過ぎません。最終的にはクラシックのステレオ盤で調整しています。しかも、いろいろ聴いているうちに気になるところも出るので、そのたびに細かい調整を重ねるということをしています。部屋のクセが大きいと、それがなかなか収束しないということになります。大きな特異点は無くさなければなりませんので、調整はスピーカーの位置調整だけでは済まないのです。
よく、ジャズやポップスの女性ボーカルが、センターに定位するのでちゃんと合っていると安心している人がいらっしゃいますが、これは大きな落とし穴です。ボーカルはモノマイクで収録し2chにミックスダウンしているだけ。こういうものは、かなりアバウトな調整でもしっかり中央に定位します。真ん中は真ん中へ、左右に振り分けた音はますます左右のスピーカーにへばりつきます。これを《三点ステレオ》と言うわけです。左右中央の定位分離がはっきりしていると喜んでいる人が少なくないのですが、この状態は、実は最も正解から遠いのです。
ちなみに、ダイアナ・クラールのボーカルが消えるというのは、GRFさん宅で実体験させていただきました。
左右どちらかのchだけ位相を反転させると声がふっと消えてしまいます。スイッチを切り換えたとたんに消えます。背景のバックスは、ステレオマイクで収録されているので音は消えません。もちろん完全ではないのでほんの微かに聞こえることは聞こえますが、部屋のどこで聴いても同じです。まるでダイアナ嬢が突然落とし穴にすとんと落ちたように、ふっと姿が消えるというのはなかなか不思議な気分満点でした。
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