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2017年08月04日23:19

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PMFオーケストラとゲルギエフとミューザ川崎

パシフィック・ミュージック・フェスティバルはバーンスタインの遺志を引き継ぎ、夏の札幌に世界の若手音楽家を集めて1ヶ月にわたり開催される国際教育音楽祭。オーディションで世界中から選ばれた若手音楽家が参加するオーケストラ・アカデミー。それを世界的巨匠が指揮するPMFの魅力。会場の札幌の日程を終えると、東京にやってくる。

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28回目を迎える今年のPMFはワレリー・ゲルギエフ芸術監督の3シーズン目。私が前回聴いたのは4年前のことで、指揮者は準・メルクル、会場はサントリーホールでした。今回は、ミューザ川崎恒例のフェスタサマーミューザの特別参加ということで家人を誘って二人で川崎まででかけました。

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このオーケストラの魅力は、何と言っても少々不揃いの若い果実たちの青々とした爽やかな大熱演。若い果実といっても厳しいオーディションで選び抜かれた本格的なキャリアを目指す若手音楽家たち。1ヶ月にわたり、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、シカゴ響など世界のメジャーオケの首席奏者などからなる教授陣にみっちりしごかれている。並のレベルのオケではないのです。

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第1曲目は「タンホイザー」序曲。私の席がステージ左手のためかヴァイオリンがバランス上ちょっと目立ちますが、厚みのある響きでいくぶんゆったり目のテンポの堂々たるワグナー。若い世代であってもやはり世界レベルと思わせるのは金管群。日本人オーケストラではなかなか聴けない柔らかくて深みのあるハーモニー。ホルンもとても安定しているし、やはり日本人との差を感じさせるのがトロンボーンです。全体の土台を支えるコントラバスがやや弱いので、ブラスセクションが入るとがぜん厚みが出てくるのを感じます。

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二曲目はブルッフの協奏曲。4年前も同じ曲でソリストはレーピンという豪華なキャスティング。今回はストックホルム生まれのダニエル・ロザコヴィッチ。2001年生まれというからまだ十代半ばの少年ですが、演奏は堂々たるもの。とはいえレーピンや先日聴いたネマニャ・ラドゥロヴィチに較べればさすがに線が細く、オーラが不足気味なのは仕方がありませんが、堅実な技巧を土台に完成度の高い演奏を聴かせてくれました。若いだけに表情のつけ方や強弱の起伏が不足気味。オーケストラにもそういう学生的な硬さがあったかもしれません。指揮者がステージにまだ登場していないのに、ティンパニの青年が最初のトレモロを構えて固まっているという初々しさには思わず微笑んでしまいましたが、全般的にそういう未熟さを残しています。。

この16歳のヴァイオリニストの無限の発展可能性を感じさせたのは、アンコールのバッハ。とても柔軟な音楽の流れがあって清々しい。こうやって無伴奏で聴くととてもよいヴァイオリンの音色です。ミューザ川崎の響きはバランスがよくて浸透度が高い。室内楽やリサイタルももっともっと開催されてもよいホールだと思いました。

休憩時に、マイミクのGRFさん、エビネンコさんともお話しをさせていただきました。さて、いったいどんなグレートが聴けるのか、特に冒頭のホルンやそれに続く導入部は曲全体の印象を大きく左右するので興味津々です。そんな話しで大いに盛り上がりました。

メンバーは前半と若干の変更があります。97名のアカデミーなのでプログラムや曲によって主役を割り振っているのでしょうか。木管では各人の音色の個性の違いが出ますし、ホルンやディンパニでは若干の凸凹が感じられました。一方で、弦楽器群をはじめ全体的に音がこなれてきてバランスがとてもよくなってきました。

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家人にとっては、これがミューザ川崎デビュー。ウィーンをはじめヨーロッパ本場偏重でいささか日本のホールを見下している家人も「いい音ね」と絶賛。私たちの席は、私のお気に入りのステージそでのバルコニーの前列。どこでも音がよいミューザ川崎ですが、ステージに近く、しかも全体を俯瞰できるこの席がお気に入り。

空席が目立つ会場に「もったいないなぁ」といささか首をかしげもし、最前列に空席が目立ったことには多少腹立たしい気もしましたが、正面中央の1階席ではなくステージ後面のいわゆるP席がほぼ満席だったことには思わずニヤリとしてしまいました。正面中央の2階席前列が空いているのは招待席、2階バルコニー最前列に空席が目立つのは関係者の割り当てでしょうか。いずれにせよもったいないことです。

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少し硬さがあるホルンのユニゾンに誘導され曲が始まります。ひとつひとつの歩みがとても丁寧で純真さに満ちたシューベルト。第二楽章のオーボエソロも外連味のない温かみにあふれた青春賛歌となっています。シューベルトの楽譜は遺稿譜から死後に出版されたものなので校訂も様々な種類があり解釈も定まっていないようなところがあります。ゲルギエフは「解釈」で弄ぶようなことはせず、そういう細部をデフォルメして強調するようなことは一切しようとはしません。スケルツォもとても真っ直ぐにひたむきに前へ前へと進んでいく。

自筆譜を発見したシューマンは、それまで抱いていた、歌曲や小規模な室内楽ばかりを作曲していた仲間内「シューベルティアーデ」の作曲家というシューベルト像が覆るほどの大規模なこの交響曲に驚いたそうです。でもこうやって聴いてみると、シューベルト特有の堂々巡りのような彷徨ぶりはあってもことさらに規模の拡大を図ったような作為を感じさせません。前半の二楽章の室内楽的で対位法的な流れはとても美しく何度繰り返されてもいつまでも聴いていたいという音楽ですし、後半の時に逡巡しながらもどこまでもどこまでも突き進んでいく音楽は際限の無いネバーエンディングの世界。

そういう心情は、まさに青春そのもの。素晴らしい「グレート」でした。






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PMFオーケストラ演奏会 川崎公演(プログラムC)
 フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017 特別参加

2017年7月31日(月) 19:00
神奈川県川崎市 ミューザ川崎シンフォニーホール
(2LB2列5番)

ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ダニエル・ロザコヴィッチ(ヴァイオリン)
PMFオーケストラ

◆ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲(ドレスデン版)
◆ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
(アンコール)
  バッハ:無伴奏ヴィイオリンパルティータ第2番BWV1004より「アルマンド」

◆シューベルト:交響曲 第8番 ハ長調 D. 944 「ザ・グレイト」

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