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2017年07月10日14:13

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小林研一郎 「炎のチャイコフスキー(?)」 読響土曜マチネーシリーズ

二人の人気者をフューチャした、いかにも日本らしさを出した純和風のコンサート。

指揮者は「炎のコバケン」こと小林研一郎。私はどうもこの指揮者が苦手なのです。

昨年、ブダペストに行ったときハンガリー国立交響楽団のコンサートを聴く機会があったのですがタイミングが小林の客演ということだったので、わざわざブダペストまで来たのに何もコバケンでもなかろうと、同夜のブダペスト祝祭管のコンサートに出かけてしまいました。

そのことを今でも家人に恨まれています。

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到着したその日のことで、時間がギリギリだったせいで遅刻。前半は天井桟敷の端の席から遠く見下ろすという有様。一方のハンガリー国立響のコンサート会場はホテルの目と鼻の先のリスト音楽院の大ホール。翌日、リスト音楽院を見学してその内部の美しさ、音響の良さにびっくり。一方で、祝祭管のコンサート会場は旧市街から離れた不便な川端にある「芸術宮」。「宮殿」とは名ばかりで、リスト音楽院とは対照的モダンな現代建築。祝祭管は、滞在3日目にも聴きに行きましたから、ブダペストを代表する管弦楽団を聴き較べてみる機会をみすみす見逃したことになりましたし、何よりもあの素晴らしいリスト音楽院大ホールのコンサートを聴く機会を逃してしまいました。

小林はその情熱的な指揮振りでいつの間にか「炎の…」と呼ばれ「コバケンさん」とプロの楽団ばかりかアマチュア音楽家からも慕われているというわけです。本人もそういう期待に応えようとするのか、ちょっとしたアゴーギグに恣意的ところが多く強弱を強調するところがあって、その激しい身振りや大きなうなり声に聴衆が大喜び。

ところがこの日の小林はそれなりに控えめ。

今年4月にソロ・チェリストに就任したばかりの遠藤真理をひきたてようとひたすらバックアップに回ったかのよう。遠藤真理さんは、美人で可愛らしく、FM放送のクラシック音楽バラエティ番組「きらクラ!」でタレントのふかわりょうさんと二人でパーソナリティを務めている人気者。軽妙な会話でクラシック音楽の裾野を拡げて毎週楽しい話題を提供しています。

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もちろん本業の方もトップクラス。ソリストとして活動してきましたが、今春、読売日本交響楽団に入団。最近、ソリストがオーケストラ楽団員に転向することが多いようですが、チェリストとしてはN響の向山佳絵子さんもその一人でした。

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、その遠藤がなかなかの佳演。この曲にボヘミアや黒人霊歌などの民俗的な土臭さや、遠く故郷を思い激しいまでの望郷や喪失感などの濃厚な情感を求めるのか、あるいはいかにもチェロらしい堂々としたスケール感を期待するなど様々なものがあると思いますが、遠藤にはさすがにいずれもちょっと荷が重いところもあります。細やかで美しい場面も多くありましたが、どうも起伏に乏しい。どこか爆発するようなところが欲しかった。

オーケストラもどこかそれにお付き合いしているようなところがあります。冒頭の第二主題を呈示するホルンも技術的には見事ですが、もうちょっと「何か」を出して欲しかった。とにかく、とてもバランスのよいドヴォコンでした。

遠藤らしさが出たのはアンコール。アザラシヴィリの「無言歌」。アザラシヴィリというのはジョージア(グルジア)の作曲家だそうですが、この曲はレニングラード・フィルの首席奏者だったアナトール・ニキティンが結成したチェロ・アンサンブルが好んで演奏して人気となった曲。遠藤は、そういうチェロセクションを率いてのアンサンブルをあえてアンコールとしたのです。選曲といい、合奏といい、遠藤真理さんらしいセンスの良さがあふれていました。

休憩をはさんでのチャイコフスキー。

チャイコフスキーらしい管弦楽法にはあふれていますが、やはり後期の3つの交響曲に較べると曲としての魅力は不足します。何となく盛り上がって終わり。あまり印象が残らないのはいつもの通り。ドヴォルザークもそうですが、オーケストラもそこそこという感じ。プログラムのメンバー表はいつもの通りですが、この主なメンバーの何人かが今まさに同じ時間に四ッ谷のほうで活躍中なのだと思うとちょっと複雑な気持ちがします。

大喝采のなかで、オーケストラのなかに深く分け入りセクションのトップ一人一人と握手しながら立ち上がらせ喝采の拍手をさらに盛り上げるのも小林流。どこか小澤征爾さんと似通うところがありますが、これも日本人のメンタリティを大いにくすぐるのでしょう。


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第199回土曜マチネーシリーズ
読売日本交響楽団

2017年7月1日(土) 14:00
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール

指揮=小林 研一郎
チェロ=遠藤 真理

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
(アンコール)遠藤真理+チェロセクション
アザラシヴィリ:無言歌

チャイコフスキー:交響曲 第3番 ニ長調 作品29「ポーランド」
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