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2016年09月26日12:14

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genmi邸緊急訪問

吉備路から帰還してまもなく、genmiさんからだいぶ音が変わったので聴きに来いというお誘いがあって、何やら自信ありげなご様子。そこで試聴とクリニックを兼ねて久々にgenmi邸を訪ねたところ、びっくり!というお話しです。

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先ずは音源はお任せということで、最初にお聴かせいただいたのがこれ。

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そのベースの素晴らしい質感と量感にびっくり仰天。

これだけの低音が805から出てくるとは驚きです。もしかしたらキリン邸の805を抜いたかも。ピアノとベースのデュエットというものですが、この録音はちょっとくせ者。プロデューサーの小林貢氏によればスタジオではなくホールを使用し自然な楽器の響きを活かし、リミッターやコンプ、イコなど電気的な加工は一切排除しダイレクトに2trに録音したという。特に、ローカットフィルターを入れていないので再生時にはご注意とのこと。

けれども、このソフト、大型スピーカーなら低音が出るという安易なシロモノではありません。システムによっては「え?」というくらいおとなしい地味なサウンドでしか鳴らない。病院コンサートや音楽療法に熱心なベーシストの伊藤潮氏が癒やし系のアルバムを作ってみたいと小林氏に依頼したのがそもそものきっかけ。だから人を驚かすいかにもオーディオファイル向きというCDではないのです。ローエンドが単に下まで伸びているというよりもピーク・ディップが少ない素直な特性のスピーカーでないとピアノとのバランスが崩れたり、逆にちっともベースが聞こえないということになる。

それが、眼前の小さな805の背後にぶっとい胴のダブルベースが立っていて、まことにグルービーな唄を聴かせてくれている。ピアノも生々しく音色が立っていてソノリティがよくのっている。ほんとうに感心してしまいました。

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改善点の第一は、エイスナーブの導入。中古がオークションで手に入ったので部屋の四隅のコーナーに設置し、その機会にスピーカー背面壁の静音グッズを大幅に見なされたそうです。また、配線、スピーカーケーブルインシュの導入、スピーカー、アンプとCDPの足元も見直しなど変更は多岐にわたり、特にKanadeの導入で効果があったとのこと。おそらくこれらが音の響きや明瞭さだけでなく低音の増強にもつながったのだと思います。

もっと驚いたのは、高域の改善。これまでちょっと課題として残っていた高域のくせ。特にヴァイオリンの高域の重音でびびりが出て金属的な濁りを発生していたこと。それがきれいに解消していたのです。genmiさんによれば、ここはトランスや電源などを載せていた御影石の撤去が決定的に効いたとのこと。

あの嫌な高域の歪みは、やっぱり石の鳴きだったというわけです。私は電源関係の土台なので関係ないと思っていたのですが、スピーカーの振動などが床などを伝わって共鳴したり反射したりして影響していたのでしょう。石の鳴き、恐るべし…です。ちょうど同じ時期に、そういう石の鳴きを嫌って長いこと石を避けていた私の方は、宗旨替えして御影石をせっせと導入していたのですから面白いものです。

ここまで音色バランスが変わり、音の純度が上がると、別のアラも見えてきます。

そこで少しだけチューニングのまねごとをしてみました。

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遠藤響子さんを聴いてみると、ちょっとボーカルの声質に粗さがあり音像が少しボケています。今回の調整で一番頻繁に聴いたレファランスは何ですか?とお聞きすると平井堅のライブだそうです。それも併せて聴いてみると…やはり同じ現象です。

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これは、スピーカー背面壁、中央の窓にあるTVの上に設置された整音パネル2枚を外してもらうことで解消しました。エイスナーブ導入前に加えたグッズでその時はよかったそうです。それがエイスナーブの導入でむしろマイナスになったというわけです。アクセサリーは時々引き算して確かめてみないといけないですね。

もうひとつは低域が出過ぎ…というか、かえって膨らみ気味になってしまったので、スピーカー位置を下げて後の壁に近づけてみます。人差し指の関節ふたつほどです。これで低域が締まってきました。ベースの低域は低い位置に淀み、高いポジションはどんどん上に上がって音像がばらばらになっていたのが改善します。弦楽器は、開放弦は響きが膨らみ他のポジションは締まって少しくすんだ音になったりします。特にベースやチェロはそれが顕著で、ハイポジションでは音色や音像が遷移します。そういうことを意識しながら、気長に位置の調整をしていくと良いと思います。

これだけで、音色バランスが整ってきます。先ほどのボーカルの粗さがとれてずいぶんとスムーズになり、細かい音楽のニュアンスが見えてきます。

まだ少しだけ歪みを感じるので、CDPの下にかませてあるKanadeの位置を変えてもらいました。

前面左右2つと後面中央の3点支持だったのですが、前面のひとつをメカ部の真下に移してもらいます。ラックスのD08は、メカ(トレイ部分)が中央ではなく向かって左側にあるアシンメトリーな配置です。ですから3点支持もこれに合わせて変則的な置き方にしてもういちどバランスを取ってガタのないようにしてもらいました。一点アースの一歩手前の状態のようなものです。これがけっこう効いてとたんにクリアになりました。

最後に、私のお得意のパッヘルベル「カノン」のタネ明かしをしました。

スピーカーの位置や向きをほんの2〜3�估阿�すと、たちまち音像定位と空間表現が壊れてしまうということをgenmiさんにも聴いて確かめていただきました。そしてすぐに元に戻します。この日は、音色の調整ばかりでしたので最後の仕上げにこのスピーカーの焦点合わせをしてみました。

実は、この焦点合わせというのは音像音場の問題だけではありません。スピーカーの焦点が合うと音色が正確になり低域のエネルギーが増し中音の質感表現のクオリティが高まります。

もう一度、遠藤響子や平井堅をかけて聴いてもらいます。

力んで喉元が窮屈になってしまういわゆる喉声が解消しすっと伸びるようになります。遠藤響子さんの「イ」とか「ア」といった母音がその喉声になっていてもともと聞き苦しいところがあるのですがこれがずいぶんと聞きやすくなります。平井堅さんでは胸や頭をきれいに共鳴させる「胸声(きょうせい)」がとても気持ちよくなって、聴いているほうの身体にも響いて、それがすっと心にまで浸透してくるようになりました。こういうことが、歌手の歌唱力や音楽性を浮かび上がらせ、次第に音楽の感動や心の癒やしへと私たちの気持ちを昇華させていくのです。

スピーカーの焦点合わせはそういうことでもあるのです。

ピュアオーディオの目指すものは、音像のホログラフィックな立体感とかホール音響の再現、あるいはライブの臨場感ということもあるかもしれませんが、それだけではないと思います。音色や和声、リズムなど音楽のあらゆる構成要素がオーディオにとってはすべて課題なのです。その究極の目的は、ジャンルや録音年代はなんであれ、音楽の感動なのだと思います。
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