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2016年04月09日16:24

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アベノミクスの下心

アベノミクスを容赦なく酷評する経済評論家の浜矩子氏の舌鋒はさらに鋭さを増している。「アホ」とこき下ろす言い方はいささか品位を欠くが、ご本人によれば、安倍政権の政策の危険度はもはやそんな遠慮をするような段階ではないという。

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浜氏は、すでに2年前にアベノミクスの正体は『富国強兵』だと喝破していた。当時は、政権発足してまだまだ1年、一見すると景気対策・経済優先で「戦後レジームからの脱却」「憲法改正」という政治論は控えていたが、今やその本性をむき出しにしている。しかも、その表看板だったはずの経済政策は見せかけのハリボテであることが天下に明らかになりつつあるが、そんなことはお構いなしの強気ぶりなのだ。

そもそも第一の矢といわれた日銀による「異次元緩和」策がいよいよ賞味期限切れとなり、その副作用が日本経済にまわり始めている。

『花見酒の経済』とは朝日新聞の論説主幹だった笠信太郎の名著で、高度成長期の経済を古典落語の演目になぞらえて当時の経済を批判したもの。落語では、酒を仕入れて一儲けを企んだ二人が、自分たちで金をやり取りしているうちに意地汚く酒を飲み干してしまい、手元には二人の間を往き来していた銭しか残されていなかったという話し。これになぞらえて、貨幣回転率に依存する経済の底の浅さを鋭く批判したものだった。

『異次元緩和』(量的金融緩和政策)とは、80兆円の国債買取りによって貨幣供給量を増大させるというもの。しかし、いくら供給量を増やしたところで“回転”はしてくれない。ついにその限界に突き当たったのが『マイナス金利』というわけ。この『マイナス金利』は、日本経済のアンダーグランド化を招きつつある。マイナス金利が明らかにされた途端に日本中のホームセンターの棚から「金庫」がなくなったという。預貯金のとり崩しとタンス預金化が始まった。マイナンバー制の導入もあっていまや銀行も分散していた他行の個人預金を集約させようと躍起になっている。マイナス金利政策とはいかがわしい経済の地下化を進めるばかりなのだ。

アベノミクスの正体、安倍政権の下心とは、単純かつ危険極まりない。そういう地下のいかがわしさが満開なのだ。

安倍首相は、昨年4月に訪米した際、議会演説の翌日に開催された笹川平和財団米国主催の安全保障フォーラムに出席して得意げにこう言い放っている。

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「強い日本は、安定して成長する経済に土台を置きます。」
「私の外交・安全保障政策は、アベノミクスと表裏一体であります。」

すなわち、安倍政権の成長論とは、経済成長によって財政規模を拡大し、それをもって国防費を増大させるという「富国強兵」政策に他ならない。目的は軍事費増大であって福祉のためではない。「戦後レジームからの脱却」とはすなわち戦前への回帰に他ならない。それは日本を滅亡へと導いた古臭い「強兵」策に戻すということなのだ。

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TPPについても安倍は同じような考え方を披瀝している。日本人というものは海外へ行くと口が軽くなるものだが、これも同じ渡米中の米国連邦議会での演説での一節だ。

「TPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。」

これは外務省の日本語版だが、この部分の英語原文は、

“Furthermore, the TPP goes far beyond just economic benefits. It is also about our security. Long-term, its strategic value is awesome. We should never forget that.”

「大きな意義がある」という日本語は、「その戦略的価値は凄まじい」というのが原意だ。「戦略」「凄まじい」という言葉のきな臭さを隠そうと外務省が意訳しているに過ぎない。経済と軍事的戦略を結びつけるというのは、これまた戦前に日本の孤立化をすすめて大戦へと向かわせた「ブロック経済」政策に他ならないではないか。

浜氏によれば、格差とその将来的な拡大による《絶望》がもたらす現象が「トランプ現象」の正体に他ならないという。均衡を失った分配の歪みが現状への不満を生み、地下化がいかがわしく不条理な政策を生む。サンダースもトランプもひとつの歪んだ社会の左右の両端のようなもの。地下化と不条理の鬼っ子ともいうべき「トランプ現象」は、とりわけ幼児的な凶暴性を孕んでいる。

トランプはアメリカの安倍であり、安倍は日本のトランプなのだ。
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