mixiユーザー(id:26897873)

2016年04月06日15:30

684 view

紀尾井シンフォニエッタ東京の"パーセル"と"ヘンデル"

上野の桜が満開になる頃は、いつも東京・春・音楽祭のコンサートのいくつかに出かけることを楽しみにしている。今年は、何となくぼんやりしていて出遅れてしまって、この夜が私にとっての初日。

それがとても素敵な夜になりました。

フォト

紀尾井シンフォニエッタ東京は、昨年10月に紀尾井ホール開館20周年記念の一環としてバロックオペラに挑戦。それが快心の上演となってひと皮剥けた感があって、そういう成果がこの夜のコンサートで華やかに開花したという感じ。

石橋メモリアルホールは、残響が長く美しく、その響きがヨーロッパの教会を思わせるような美しい響きがするので、バロック音楽などには殊更に相応しい。このホールは上野学園校舎の建て替えに伴って建て替えられた二代目なのですが、残響時間の長い中規模ホールの草分けだった旧ホールの音をできるだけ継承するようにと設計されました。

そのふたつがあいまって、ヘンデルとパーセルの名曲がモダン楽器のKSTから豊かな響きのアンサンブルと極上のソロが聴けたのです。恐らくチェンバロの調律に合わせてピッチを下げているとは思うのですが、玉井菜採さんのVnソロがほんとうに心地よいまでに艶やかに鳴っていたし、オーボエのお二人もバロック音楽らしい闊達さでとても巧み、バスーンも軽やかなバスラインを聴かせてくれて優雅。トランペットもバルブのモダン楽器ですが、小さいピッコロトランペットを駆使していかにもバロック音楽らしい雰囲気を盛り上げてくれます。

フォト

指揮者のエガーさんは、チェンバロとの弾き振りで、ケンブリッジ大に学びグスタフ・レオンハルトに師事したチェンバリスト。現在は、クリストファー・ホグウッドの後を継いでエンシェント室内管弦楽団の音楽監督を務めています。とてもエネルギッシュな指揮振りで大きな身振りでKSTをリードして、とても活発で生命力にあふれた音楽を引き出していました。

プログラムは、ヘンデルとパーセルのおいしい部分ばかりの華麗に盛り合わせた、花見のお弁当のように美しく楽しいおごちそう。冒頭のヘンデルの「シバの女王の入城」もお馴染みの名曲ですが、これでぱあっと雰囲気ができあがります。パーセルの《妖精の女王》の元ネタはシェイクスピアの『真夏の夜の夢』なのですが、エドガーさんはその中から自在に選択して曲順も巧みに再構成しています。ソプラノの阿部早希子さんアリアがとても情熱的。ドラマチックで親しみやすい旋律豊かなオーケストラ曲とのミルフィーユになっていて、最後は壮麗な《シャコンヌ》で幕を閉じるという按配。
フォト

後半は、まず、これまたお馴染みの《水上の音楽》。3つの組曲として知られているこの曲ですが、ここでもエガーさんが独自に曲を選択して盛りつけています。組曲としての献立の組み立てと配膳の流れをきちんと踏まえたうえで楽器編成や色合いに気を配りながら再構成したもの。食器と料理の彩りの組み合わせ、味わいの変化とリズムが楽しくて華麗なディナーテーブルです。
フォト

プログラム最後は、カウンターテナーの藤木大地さんも加わってヘンデルの歌劇の名アリアの数々。《私を泣かせてください》や《オンブラ・マイ・フ》などの人気曲の数々はさながら食べ放題ビュッフェスタイルのデザート。《オンブラ・マイ・フ》をカウンターテナーで聴くのは初めてですが、もともとペルシャ王セルセが歌うカストラートの曲なのですね。そして恋人たちによる愛の二重唱でこの夜の大団円を迎えるというわけです。
フォト

コンサート前には、家人と上野の花見客の喧噪を見学。その家人もいつもは辛口なのですが、この夜は駅に向かう帰り道の夜桜の並木を歩くあいだ中、ホールの響き、ヴァイオリンソロの音の美しさ、管楽器メンバーの巧みさをひとしきり称賛していました。
フォト





フォト
東京・春・音楽祭
紀尾井シンフォニエッタ東京の"パーセル"と"ヘンデル"
〜新時代の古楽リーダー、リチャード・エガーを迎えて

2016年4月1日(金) 19:00
東京・上野 上野学園石橋メモリアルホール

指揮:リチャード・エガー
管弦楽:紀尾井シンフォニエッタ東京
ソプラノ:阿部早希子
カウンターテナー:藤木大地

ヘンデル:オラトリオ《ソロモン》 HWV67 より 「シバの女王の入城」
パーセル:歌劇《妖精の女王》 より「ソプラノと管弦楽のための大組曲」

ヘンデル(エガー編):組曲 《水上の音楽》
ヘンデル:
 歌劇《リナルド》HWV7 より 「私を泣かせてください」
 歌劇《ジュリアス・シーザー》HWV17 より「海の嵐で難破した小舟は」
 歌劇《セルセ》HWV40 より 「オンブラ・マイ・フ」(なつかしい木陰よ)
 歌劇《リナルド》HWV7 より 「風よ、旋風よ」
 歌劇《リナルド》HWV7 より 「あなたの面差しは優美に溢れ」
15 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する