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2024年08月07日09:47

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日下紗矢子リーダーによる室内合奏団 (読響アンサンブルシリーズ)

読響のメンバーによる室内楽プロジェクト。いろいろなリーダーの下で様々な編成での企画のアンサンブルシリーズです。

なかでもいちばん楽しみにしているのが日下紗矢子さんが率いる室内合奏団。

日下さんが率いる室内合奏団は、ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラにも共通するけれど、その触ると火傷でもしそうなカーッと熱い音色と響き。

弦楽オーケストラなど小編成の室内オーケストラというと、バロック音楽などを中心とした穏やかで雅なくつろげるサウンドを期待してしまいがちだけれど、日下さんがリーダーシップを取ると、そのアンサンブルはとてもシャープでホット。

前回と同じく、ハイドンの交響曲を最初と最後に置いたプログラムですが、そのハイドンが、さながらイタリアのまぶしいほどの陽光のように輝かしく響く。最初の第12番は、エステルハージ侯爵家の副楽長に就任して3年目の第I期のもの。その若々しい大胆で優美な意匠性は、ハイドンらしい稚気を感じるけれど、それがとても颯爽としています。

目を見開かされるような思いがしたのが、ベルクのピアノ・ソナタの弦楽合奏版。

この弦楽合奏版は、オランダの作曲家ヴィナンド・ヴァン・クラヴェレンによるもので2011年にアムステルダム・シンフォニエッタの委嘱により編曲したものだそうだが、これが日本初演。弦楽合奏に置き換えることによって、ピアノでは音符が入り組んで晦渋に聞こえるものが、ロマンス濃密な表現主義の心地よい幻想の響きに変換される。調性が変転しとらえどころがないようでいて機能的なハーモニーが弦楽合奏で濃密に響くことで具体的な映像が現れる。夢幻的な音楽は素晴らしく魅力的でした。

後半の第一曲は、昨今、新進気鋭の弦楽四重奏団がよく取り上げるウェーベルンの「ラングザマーザッツ」。ベルクの弦楽合奏版ソナタと休憩をはさんで呼応する形ですが、これもまた四重奏ではなくて弦楽合奏の厚みと深みのある響きで聴くと格別の世紀末的死生観が液状化してしたたり落ちるような感覚が生起します。俗っぽい自己陶酔すれすれのロマンチシズム。

最後は再び、管楽器が加わってのハイドン交響曲。

「告別」には、よく知られたエピソードと機知に富んだ仕掛けがあるわけですが、まずはその前に、シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)期の代表作だということを忘れてはならない。日下さんのリーダーシップは、まさに、その疾風怒濤そのもの。対位法の効果を感情表出の手段として大胆に取り入れ、短調など調性の情感的色づかいを大胆にふるいながらも、古典派的構成の均衡美を保つ。ホルンの長音や弦楽器のハーモニー、木管楽器の一陣の薫風が実に心地よい。

最終楽章は、例のトリックが展開して、最後に舞台は真っ暗闇になるわけですが、その楽器の数が細っていくにもかかわらず、古典派的音楽の均整が保たれる。そういうテクニカルなデモンストレーションにハイドンは得意満面だったことでしょう。もちろん、読響アンサンブルのメンバーも同じようにしてやったりの笑みを浮かべていました。



フォト


読響アンサンブル・シリーズ
第42回 《日下紗矢子リーダーによる室内合奏団》
2024年8月1日(木) 19:30〜
トッパンホール
(M列 11番)

ヴァイオリン/リーダー=日下紗矢子(読響特別客演コンサートマスター)
 對馬哲男、井上雅美、大澤理菜子、
 川口尭史、島田玲奈、武田桃子、外園彩香、堀内星良、山田友子
ヴィオラ=森口恭子、冨田大輔、長倉寛、三浦克之
チェロ=遠藤真理、唐沢安岐奈、山梨浩子
コントラバス=大槻健、�盪碍鮖�
オーボエ=荒木奏美、森枝繭子(客演)
ファゴット=武井俊樹
ホルン=松坂隼、山岸リオ


ハイドン:交響曲第12番 ホ長調
ベルク:ピアノ・ソナタ op.1(弦楽合奏版)

ウェーベルン:緩徐楽章
ハイドン:交響曲第45番 嬰ヘ短調「告別」
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