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2023年08月19日21:59

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「フォーレの世界にひたる」 (清水和音の名曲ラウンジ)

フォーレというと、静かで穏やかななかにほのかなロマンの熱がこもっていて、日中の俗気に疲れた気持ちを癒やそうと深夜に聴くにはもってこいの作曲家。特に今のような酷暑の夏には、静謐な大聖堂のなかに入ってその涼気に触れるようで心地よい。

そういうフォーレの小品を、チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラの独奏で堪能しました。ほんとうに肌寒いほどに感じたのは、これはどうやらホールの空調の効きすぎだったのかもしれません。折りからの台風襲来で灼熱地獄が続いた東京でも雲が多く外気温は夏日とはいえまだましだたからでしょうか。

そういうフォーレですが、個人的には、最後のピアノ四重奏曲はちょっと苦手。

というのも、後年の枯れた簡素な書法こそフォーレと思い込んでいる耳にはいささか暑苦しく感じるからです。

ところがこの日の演奏では、そういう思い込みがすっかり晴れてしまいました。

透明で色鮮やかな水彩画のように爽やかな風が吹いています。弦楽器群は、ほとんどユニゾンで動いていてその和声が新鮮で軽やか。それにきらびやかで輝かしいピアノ独奏が散りばめられていく。若々しい情熱が初々しく、時に影を帯び、時に目が覚めるように発散する。爽快で都会的なフレッシュな感性が、それまでのドイツ的なロマン主義の重厚長大を脱して、フランスらしい独自の音楽の先駆けとなったフォーレ。

そういう瑞々しい若いフォーレを感じさせてくれたのは、やはり、この日の皆さんの資質のなせる技なのだと思いました。そのことは、四重奏曲に先立つソロ演奏で予感させていました。

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佐藤晴真さんのチェロの小公子然としたノーブルさ。佐々木さんの暖かで包み込むような音色。

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特にフォーレ的と感じたのは、藤江さんのヴァイオリン。細身でとても純度の高い音色。藤江さんは、フランス在住で一年に一度の出演ですが、多分これで三度目。この日は改めてその感性がフォーレにぴったりと感じたのは、藤江さんがそういうモードに入っていたからでしょうか。

フランスというと自由の国。清水さんとのトークで藤江さんは、フランス人の自由・個人主義、互いに束縛干渉しないフランス人気質を語っていましたが、そういう個々の自由さが軽やかなアンサンブルを紡ぐ時、こんなにも美しく心がくつろげる音楽になるのだ…ということを鮮やかに体感させてくれました。




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芸劇ブランチコンサート
清水和音の名曲ラウンジ
第42回「フォーレの世界にひたる」
2023年8月16日(水) 11:00〜
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階P列23番)

オール・フォーレ・プログラム:

シシリエンヌ op78
エレジー ハ短調 op24
佐藤晴真(Vc) 清水和音(Pf)

ロマンス 変ロ長調 op.28
藤江扶紀(Vn) 清水和音(Pf)

子守歌 op.16
佐々木亮(Va) 清水和音(Pf)

ピアノ四重奏曲 第1番 ハ短調 op.15
藤江扶紀(Vn) 佐々木亮(Va) 佐藤晴真(Vc) 清水和音(Pf)

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