町田の小さなコンサートサロン、アートスペース・オー。
小さなサロンで聴く音楽は、ちょっと特別の音楽体験です。間近な生音の持つ裸の音が聞こえてきて楽器の音がむき出しのままに迫ってきます。演奏者のこだわりのようなものも直接伝わってきます。
そういうサロン・コンサートもコロナ感染禍で中止を余儀なくされていました。今年はこれまで7月の1回だけ。ようやく2回目にこぎつけたとのこと。定員は、半分の50席に限定し椅子の間隔も多めに空けられています。換気扇もずいぶんと増設されています。熱交換器がついた特別な換気扇で音も静かなので演奏中もあまり気になりません。ただでさえ続けることには苦労の多いはずのサロンコンサートですが、それだけにオーナーの強い気持ちが伝わります。
そのことは演奏者も同じ。山崎さんのこのリサイタルは、一度、延期になってましたからなおのことです。
プログラムも、演奏される機会の少ないメンデルスゾーンのチェロ曲をほぼ全曲網羅するという意欲的な内容だけに、なおのこと気迫がこもっていました。私にとっては初めて聴く曲ばかりですが、こうやって聴いてみるといずれも素晴らしい名曲ばかり。第1番のソナタは、あの大好きなピアノ三重奏曲を彷彿とさせ、シューマンが称賛したということにもうなずけます。第2番のソナタは、さらに豊穣で濃厚。いずれも、ロマンチックな情感が色濃く、うっとりするような美しい歌うような旋律。それでいて古典的な様式がしっかり守られ端整で優美なところがいかにもメンデルスゾーンです。
ピアノは津田さん。山崎さんが演奏後に、津田さんというピアニストなくしては、このプログラムは演奏できなかったと仰っていました。津田さんのピアノを聴くのは、今年はこれで4回目。つい先日に聴いたシェーンベルクの「ピエロルネール」の凄い演奏が耳に残っています。トリオ・アコードのメンバーとして、あるいは名伴奏ピアニストとして、技量ばかりでなくそのレパートリーの広さ深さには敬服してしまいます。逆境のなか、こんな小さな聴衆に対して意欲的な演奏を聴かせてくれた山崎さんが、津田さんのおかげだと強調する言葉にはとても熱いものを感じます。
アンコールは、「歌の翼に」。ちょっとうるっとしてしまいました。
アートスペース・オー 第234回コンサート
山崎伸子チェロリサイタル with 津田裕也
2021年12月18日(土) 16:00
東京・町田 アートスペース・オー
山崎伸子(チェロ)
津田裕也(ピアノ)
フェリックス・メンデルスゾーン
: 協奏風変奏曲 Op.17
: チェロ・ソナタ 第1番 変ロ長調 Op.45
: チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.58
: 無言歌 Op.109
(アンコール)
: 「歌の翼に」 作品34-2
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