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2018年12月28日16:09

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2018 今年のマイベストCDs

2018 今年のマイベストCDs2018です。

昨年に引き続き、CDに限らずダウンロードしたファイル音源と合わせてのベストソフトということでご紹介します。

今年は、オーディオ面ではMFPCの導入ということで画期的な年となりましたが、それに反してソフト面ではあまり豊作とは言えない年となりました。CDでは、新録音という点では極めて不作でした。コミュでもいろいろなCDがご紹介されていて私も刺激を受けていくつか実際に購入して聴いてみましたが、今ひとつ琴線に触れるようなフレッシュなディスクは数少なく、いわゆる既出のCDの方にあらためて上質な魅力を感じてしまうのです。

時代はパッケージメディア離れと言われて久しいのですが、リリースされた数こそ決して少ないわけではないようです。けれども、内容は確実に低下していると感じます。一方で、ファイル配信という点でも、こと、クラシック音楽に限ってみれば数においても内容においても決して豊かだとは思えないのです。パッケージメディア離れというのは、いわゆるユーチューブなどネット動画や、携帯端末用の音源などに主流が移り、コンテンツとしては一見(いちげん)に過ぎない使い捨てのようなものばかりになっていくのは、クラシック音楽ファンとしてもコアなオーディオファンとしても寂しい限り。そう感じるのは私だけでしょうか。

そういうことで、いささか新鮮味に乏しい既出のソフトがほとんどになってしまいましたが、個人的にはやはり新しい感動と愛着を確実に増やしてくれたソフトたちです。


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1.RHAPSODY 
  マリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送響/デニス・マツーエフ(ピアノ)

2015年10月、ミュンヘン ヘルクレスザールでのライブ収録。民俗風味たっぷりの「狂詩曲」5曲を、ヤンソンスが世界トップクラスのヴィルトゥオーソ・オーケストラのバイエルン放送響の熱狂を呼び覚ました熱い熱いライブ録音。

CD輸入盤も入手可能ですが、そのオリジナルファイルと思われるものがe-onkyoで配信されていて、ダウンロードが可能です。48KHz/24bitと必ずしもハイフォーマットとはいえないのですが、ヘルクレスザールの幅の狭い響きながら残響豊かで、しかし、決して飽和も混濁もせず爽快に分解するフルオーケストラのトゥッティは、その興奮の熱狂をさらに熱いものにしています。なかでもマツーエフのピアノによる「ラプソディ・イン・ブルー」は秀逸。

これを拙宅で聴いていただいたUNICORNさんが、とっさに松本フェスティバルで小澤征爾/サイトウキネンと共演した大西順子の演奏を聴いたご感想を語り始めました。ひと言で言えば、あまり感心しなかったということになりますが、この大西順子の演奏については、ピアニストにしてエッセイストの青柳いづみこさんがその著書に書いています。ガーシュインの音楽は、ビパップもビッグバンドも成立していなかったラグタイムの時代。黒人音楽の「狂詩曲」といえども、基本はクラシックのピアノ協奏曲。基本的にビバップ以後のフリージャズの教養を身につけた大西には難しく、そのインプロビゼーションやトリオとしての演奏には最後まで自信が持てず、ガーシュインの黒人音楽の風合いとはいったん離れての独自の工夫があったようです。そういうことを嗅ぎ取ってしまうジャズ・フリークのUNICORNさんには少々違和感があったということでしょう。その点、このマツーエフのピアノは、シベリアという最果ての地からチャイコフスキー・コンクール覇者にのし上がったロシアンピアニズムの技巧の炸裂があり、クラシック音楽中枢に集う最高峰の音楽家たちとの白熱の演奏には、壮絶なまでのエンタテインメントの熱狂と快感があります。

まだ若く未熟だったガーシュインを手助けしたグローフェのオーケストレーションも強烈で、バイエルン放送響の名手たちが腕によりをかけてカブいていて、まさにラプソディ。最高に楽しい。間違いなく、今年のマイベスト。


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2.6 NOTTURNI/DIVERTIMENT
  モーツァルト:バセットホルンとクラリネットのための作品集
  Berlin Phil Wind Qnt

ミュンヘンを拠点にしている「オルフェオ」レーベルは、ザルツブルク音楽祭、バイエルン放送などとのコラボレーションによる歴史的名演とともに、ドイツ・オーストリーで活躍する名手たちの録音でも高い評価を得ています。そういう新録音は、いずれも演奏内容の点でも、高音質録音という点でも、いずれも名盤ぞろい。そういうことにふと気がついてありたけ買いあさったうちの一枚。今年のオルフェオ大人買いの代表としてご紹介します。

クラリネットあるいはその原型であったバセットホルンは、ちょうどモーツァルトが活躍した時代に成立した楽器。モーツァルトは、この楽器を自らの交響曲の編成に取り入れたばかりではなく、この楽器の音色をこよなく愛して様々な編成の曲を作っています。

「6つのセレナーデ」あるいは「5つのディヴェルティメント」として知られる6曲からなるこの曲集は自筆譜が失われているために、何のために書かれたのかも、その編成もよくわかっていません。それをベルリン・フィルのメンバーが純粋にクラリネット族のためだけの編成として再現したもの。とにかくクラリネットの深く美しく叙情的な音色が見事にとらえられていて、クラリネット・フェチの私にはたまらない一枚として加わりました。

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3.シューベルト:ピアノ・ソナタ第13・14番 リヒテル
  Piano Sonatas Nos. 13 & 14 Schubert, F.

レオンスカヤのシューベルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会に触発されて買い求めたCD。

その詳細は、その時の日記にも書きましたが、このライブ録音は、リヒテル三度目の来日、1979年の東京公演を収録したものです。

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1966080358&owner_id=26897873

JVC(日本ビクター)によるデジタル録音でレコードは、JVCからすぐに発売されましたが、版権とレーベルは旧・ソ連のメロディアのもの。JVCからは二度と再販されることはありませんでした。このCDは、その音源がリマスタリングされて米国のマイナーレーベルからリリースされたもの。

当時のリヒテル人気は絶大かつ別格のもので、プログラムは事前に公表さえされなかったそうです。このシューベルトのピアノ・ソナタは、当時、知名度が低く、ほんの数日前になって公表されたときに誰もが「そんな曲があったのか」と驚いたそうです。その後の、シューベルトのピアノ・ソナタの知名度や人気からすれば隔世の感があります。今日の外来著名演奏家の公演は、よく知られた有名曲ばかりで同義反復の繰り返し。日本の招請元が集客ばかりを気にして、演奏家本人にそうした人気曲を押し付けているとの話しもよく耳にします。そういうところに、今のクラシック音楽人気の底の浅さを感じずにはいられません。

このリマスターCDを聴くと、その音質はピアノ録音としてもトップレベルで、会場の気配や咳払いなど自然なライブ感がありながらピアノを比較的クローズにとらえた情報量の高い録音。特に、気鬱と希望が交錯する起伏の激しさを見事にとらえています。まさにデジタル時代を告げる広ダイナミックレンジが活かされた録音音質であり、リヒテルが満足したというエピソードにもうなずけます。シューベルト弾きとしてその普及の最先端にいたリヒテルや、そういう時代の一過性を示すというだけではなく、円熟期の頂点を示す歴史的名演をフレッシュな高音質で堪能でき、優秀録音&名盤の名に値するディスクだと思います。

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4.Respighi: Belkis, Queen of Sheba
  レスピーギ:バレエ「シバの女王、ベルキス」(組曲) 、「ローマの松」

2001年5月、ミネアポリスのオーケストラ・ホールでのセッション録音。大植のミネソタ響時代の最高傑作であり、かつ、オーディオ的にも見事なもの。レスピーギの「ローマの松」はそれこそ星の数ほど「名録音」があるかもしれないが、曲冒頭のボルゲーゼ荘の松の喧噪は聞き物で、トスカニーニ以来の愉悦と快感だと思っています。その音の透明度、解像度ばかりでなく、広大なダイナミックレンジが聴きもの。

実は、このCDはそもそも10年前に求めたものでオーディオチェック用としても常連ともいうべきものでした。その後、ファイルオーディオ再生を始めて、このHDCDからデコードした44.1KHz/24bitのファイル再生へと進みその高音質を堪能していましたが、今年、MFPCの導入を機に、オリジナルフォーマットの176.4KHz/24bitのファイルをReference Recordingsのサイトからダウンロードし、改めて高音質フォーマット再生を楽しんでいます。もともとは“PCオーディオ用”の「HRxシリーズ」としてDVDが発売されていましたが今は絶版、入手困難となっています。しかし、そのいくつかはこうしてHPのネットショップからダウンロードが可能です。

大編成オーケストラのピークをデジタル信号の天井(0dB)として設定し、極小の音圧レベルまでそのままにとらえるダイナミックスの設定は、通常のクラシック音楽再生の音量設定の常識をはるかに超えていて、アンプのボリュームつまみを平常の数倍までに上げないと本領を発揮できません。自分の再生装置のSN比の優秀さの試金石であり、またそのダイナミックレンジの限界への挑戦ということでは、ハラハラドキドキのスリリングなひとときとなります。


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5.Smile and Tears ~微笑みの島~  辛島美登里

デビュー15周年記念、辛島美登里の初セルフプロデュースによるセルフカヴァー・アルバム。

15年というのは、激しい浮沈の繰り返しであるポップスの世界では気の遠くなるような年月であるし、そういう活動の持続性は自身の音楽性の高さと幅の証明でもありますが、一方ではその時代、時代や、いくつにもスライスカットされたジェネレーションの濃厚な青春の記憶を背負っていることにもなり、こういうセルフカヴァーにはアーティストとしては言うに言われぬ不可解なリスクを伴うことになります。

けれども、私のような昭和生まれの世代にとっては平成というのは、あくまでも何万枚ものセルが次々と描き出したアニメーションに過ぎません。そういう意味で、このアルバムには何の予見もなくそのままを受け入れ、素のままで楽しめました。唯一の第三者のカバー曲である、最終トラックの「プレイバック part2」も実に楽しい。

セルフプロデュースということの一貫として、その選曲のみならずアレンジも自身の手によるもの。そのアレンジによるサウンドは、のびやかなヴォーカルにシンプルに絡み、すっぴんの素朴さと独特の重みを伴う存在感があるサウンドのコラージュとなっていて、オーディオ耳を喜ばせてくれます。

今年の自宅オフ会でも、このアルバムをしばしば聴いていただきましたが、J−POPのボーカル系が好みのオーディオファンにぜひともリファレンス用としてお薦めしたいと思いました。

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