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2017年04月12日23:15

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読響 カンブルラン マーラー「巨人」

久しぶりの読響。

前回は、マイミクのGRFさんのお誘いで正指揮者退任を飾る下野竜也のブルックナーを聴いた。もう4年も前のことになってしまう。月日の経つのは早いもの。

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この日の指揮は常任のシルヴァン・カンブルラン。この人の指揮ぶりは初めて。正直言ってどのような音楽家なのかはよく知らないし、どんな音楽を奏でる人なのかまるでイメージがわかない。北フランスの出身とのことだが、この日のプログラムはハイドンとマーラー。

ハイドンは、ガッチリとした構成のなかに華やかさのある音楽に仕上がっていた。

「太鼓連打」の異名の通り、かなり派手なティンパニで始まる曲。使用したティンパニこそ小ぶりのピリオド風の楽器でしたが、全体としてはモダン奏法。近頃は、ピリオド奏法がすっかりあたりまえになってしまっているので、かえってこういうモダンで豊穣な音色のオーケストラで聴けるのがかえって新鮮な気分がする。カンブルランの指揮は、それにふさわしい幾何学的な美しいプロポーションの整ったハイドンですがすがしい。

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この日のコンミスは今月入団したばかりの荻原尚子さん。その萩原さんが第二楽章のアンダンテで美しいソロを聴かせた。これがこの日一番の収穫。

萩原さんは、2007年からケルンWDR(西ドイツ放送)響のコンサートマスター。読響のコンマスは、小森谷巧、長原幸太と三人となり多士済々。日下紗矢子さんは特別客演としてコンサートマスターにとどまるとのことだから、読響のコンマスは大変な華やかな布陣だ。

この日のプログラムは、前半と後半で1曲ずつという超シンプルな構成。後半は、マーラーの交響曲第1番「巨人」。

フランス人で、アンサンブル・アンテルコンタンポランにもたびたび客演するなど、現代音楽も得意としているようだ。実際、次週の公演ではメシアンやドビュッシーの《聖セバスティアンの殉教》、バルトークの《青ひげ》を取り上げるとのこと。

そのマーラーというわけだが、それならブーレーズのマーラーと共通するものがあるのかというとそうでもない。ブーレーズは、細密画や精密なレース細工のようにディテールが鮮やかで精妙なマーラー。無宗教的で、中性的、あるいは無生物的なマーラー。これに対して、カンブルランのマーラーは、骨格や柱ががっちりとした構造物的なマーラーで、けっこうマッチョなマーラー。共通点は、まったくユダヤ的ではないということだけ。

読響は、意外に正規の楽団員が少ない。

マーラーともなると、この第一番でさえ8プルト4管編成の大オーケストラだ。団員総出かと思いきやそうでもない。次席には長原幸太さんが座っていたが、管楽器群となると首席がそろっての出演というわけではない。ホルンに至っては、スコア上は7台が要求されている(壇上には8人)のに団員は5名しか在籍していない。それにもかかわらず首席二人の顔が見当たらず、どうやら正規団員二人が2番、3番に陣取るのみで、残り6名は全てエキストラということのようだ。

日橋辰郎さんのホルンが活躍するものと期待していただけにこれにはガッカリ。期待外れというだけにとどまらず、随所でずっこけるホルン群にかなり鼻白む思いがした。プログラムを見ても団員だけは顔写真入りで紹介されているが、壇上にその顔が必ずしもいるわけではない。誰が演奏しているのわからない。これではエキストラも浮かばれない。やはりエキストラあるいはゲスト楽員を多用するなら、プログラムでメンバーをちゃんと紹介してほしい。読響は、N響と並んで団員の処遇が高く地位も安定しているし、最近、入団したチェロの遠藤真理さんなど有名タレントにもこと欠かない。いわば一流大企業というわけだが、それだけに正規・非正規の問題が顕著に現れるということだろうか。

要所要所のトゥッティはまことに素晴らしいキレのある響きを聴かせてくれるのだけれど、そういう柱と柱の間がどうにも薄くて、無意味な音楽になってしまう。ハイドンのような構成のしっかりとした古典はよかったのだけど、マーラーとなるとどうにもつながらない。十分に全体のスケールの大きさは感じさせてくれるし、第三楽章のコントラバスのソロも超一級で、要所でのカタルシスはあるのだが、なんだか建築途上の鉄骨でも眺めるような気分。壁も窓もない。そのことがカンブルランのスタイルでもあるのか、読響の体質なのかはわからないけど、まことに要領よく立ち回るマーラー。かっこよく最後を迎えたのだが、何だか何も残らない。書類を部署の間でたらい回しされていたような気がして、これもまた大企業的。

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それでも、意欲的とも言えるプログラムで、横浜、多摩、大阪公演も含めて休みなく毎週2日の公演をこなし、そこそこのレベルの演奏なのだから大したものだと思う。読響の魅力は、プログラムの面白さとコンマスやソリストの多彩さにあるのだろう。人気も高く、客席はこの日もほぼ満席。東京芸術劇場の響きもよくつかんでいるようで、このホールの響きも悪くないと思わせてくれたほど。そこから時に奇跡が起こることを期待してしばらく付き合っていきたい。


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第196回土曜マチネーシリーズ
2017年4月8日(土) 14:00
2階H列42番

指揮=シルヴァン・カンブルラン
ハイドン:交響曲 第103番 変ホ長調「太鼓連打」
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

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