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2016年10月05日23:55

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妖精の祝福を受けた城 (スコットランド旅行記 その6)

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タリスカー蒸留所を後にして再びA863まで戻り、さらに北上を続けてダンビーガン城をめざします。

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スカイ島を支配した3氏族(クラン)のひとつであるマクロード家が、800年近くにもわたって居城としてきた古城。武勇を持ってならした一族にふさわしく、ダンヴェガン湾を望む懸崖の上に建てられた城は海側から望むと居城というよりは要塞のようで無骨極まりない。

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この地方で「おとぎ話(Fairy-tale)」といえば、シェークスピアの「真夏の夜の夢」のような妖精たちの世界。勇猛果敢を誇ったマクロード一族は、その妖精から祝福を受けたとして、その象徴であるフェアリー・フラッグを掲げて幾度もの窮地を切り抜けてきたそうです。その旗は、今やぼろぼろですが客間に飾ってありました。

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私には、メンデルスゾーンの序曲そのものが鳴り響く世界。森の妖精たち、その森を抜けると突然のように視界が広がり崖上から望み観る壮大な海、勇猛な一族の狩、華麗な晩餐会…そして、妖精たちは人間界から森へと戻っていく…。

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崖下の海にはアザラシたちが集うという話しでしたが、この日は風が強くてボートクルーズは残念ながら休止。海辺でアザラシたちを探しましたがその姿は見えません。もう夏はとっくに過ぎてしまったかのようでした。

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居城は広大な敷地にあって、いくつものガーデンがあります。

いわゆるイングリッシュ・ガーデンで、日本庭園に通ずるような自然景観との調和が図られたものですが、もっともっとずっと野性的。

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庭園の高い塀は、秘密の花園というよりは強い風から守るためのもののようです。広大な正方形の園内はあちこちに花が咲きこぼれています。

一方の、回遊式の庭園は、庭園というよりはむしろ森林のなかの散歩道。まさに妖精たちの気配に胸がときめいてくるような深い森のようです。そのあちこちに激しい音をたてる自然の落水があって、その水音に私たちの心は華やぎます。その激しく流れ落ちる水流はタリスカー蒸留所で見たようにやはり茶色に泡立っていました。

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スカイ島は、厳しい景観ばかりでなく、18世紀の英国ロマン主義の文学の魅力にも満ちていてスコットランドのあらゆる様相を凝縮させたような地です。その地に憧れたメンデルスゾーンが「真夏の夜の夢」序曲を作曲したのはわずか17歳のとき。このお城を実際に訪ねてみて、シェークスピアの作品こそがその原点だったのだとようやく悟りました。

(続く)
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